SPEC

機体解説

「私はSANATに従えない」

　リバティー・アライアンス(LA)所属の少女ガバナー・久世郁瀬(くぜ いくせ)の乗機。
　優秀な量産機であるロード・インパルスの基本性能を押し並べて向上させるべく郁瀬が再構築、特に拘られているのは火力不足に伴う最大の弱点の改善=継戦能力の強化である。
　同時に前脚の格闘兵装はプラズマストライクエッジに強化、頭部に追加搭載された一対のヒート・セイバートゥース共々、第二世代級の装甲にも慢心を赦さない威力を秘める。

　元は血の繋がらない、しかし慕っていた兄・茂木 究吾(もてぎ きゅうご)が残したヘキサギア、およびKARMA型AIである。
「こんな時代だからこそ夢を見たい、人々に夢を見せたい」
そう意気込んでいた究吾は突如、行方不明となる。
「もう夢を見られない、見せられない。僕の見せる夢に価値はない」
そう書かれた手紙と、地図のみを郁瀬に残して。
　究吾に何があったのか？ 唯一の手掛かりである地図、その住所たるガレージの店主が密かに究吾から預かっていたもの。それがこの「ヴェルデ・ベルヴァ」の原型、および多数の交換用パーツ各種であった。
　せめて君を護る相棒を残していく。それと、雪奈(ゆきな)を、頼む。
　AI・ヴェルデに残された伝言に郁瀬は兄の行方と思惑を探るべく、LAに参画を決意する。
　かつて究吾が所属していた、その陣営に。
　皆はLAを「他者の生き延びる権利を否定するならず者の寄せ集め」と称している。しかし郁瀬には世界を牛耳るAI・SANATとその信望者たちより、LAのほうが価値を見出せた。
「個を捨て全に尽くせ」と幼い頃より迫られた郁瀬には、「個を捨て全として生まれ変われ」と説くSANATもまた、同じ穴の狢であった。

　ヒトはまだ、変われる。ヒトのままで。
　追い詰められた者は不確かな希望より、確実に訪れる破局を選んでしまう。
　今こそ、希望を掴みに行かねば。
　そう信じ、郁瀬は今日も“翠の獣”を駆る。

　そして、取り戻さねばならない。
　全てを憎んで破局へ突き進む、異母妹を。
“獣人”の現身に縋り破滅を撒き散らす、あの娘を。

闘わなくていい。
帰ってきて、――雪奈！

BATTLE POINT

作品応募動機／作品に対するコメント

ヘキサギア5周年ゾアテックスミュージアム投稿作品

昨年末に自宅もろとも焼失した過去作品のうち、自分専用機として制作したロード・インパルスを再建しました。
ヘキサギア5周年祭に間に合うよう過密スケジュール内で連日の突貫作業、その果てに強引に完成・撮影・投稿となったため、拙い内容ばかりでの応募をお赦し頂ければ幸いです。