SPEC

機体解説

本機は第二世代ヘキサギアの指標であった「人型重機の限界を追及する」過程の後期で生まれた機体の一つである。ハイトレーガーにバルクアームαを載せたような特異な外観と機体構造を持つが、BMIとシステムコンバートは搭載していないため、第二世代型に分類される。
本機の特筆すべき点は上半身と下半身の操作系を独立させた複座式による徹底的な機体制御の分担化である。
これは開発者がガバナーを機体のパーツへと最適化させる当時のBMIを嫌っていたためであり、武器操作と回避を分担化するという方式でG2AI制御のまま、複雑な人型ヘキサギアの操作を可能とさせている。また、複座式の装甲配置から鈍重に見えるものの、エアマニューバスラスターとジェネレーターを兼ねる肩部をはじめとした推進器を各部に配置し、脚部はバルクアームβで速度性能と踏破性能が証明されたホバークラフトとすることで同程度の機動性を実現している。
このような機動兵器の原点に立ち返ったコンセプトの本機が開発できれば、革新的な解決策になり得ると期待されていた。
しかしながら、これらの機能を実現・維持するための機体コストは高額で、さらには一機に２人搭乗させるという運用方法から訓練の段階から搭乗者同士の相性を考慮して慎重に割り当てねばならないことが新たな課題として生まれた。
このような課題は操縦者へのリスクがあるものの一人で機体を制御できるBMIの有用性を再認識させるものとなった。
さらには他企業と同じく、上層部が「これ以上人型二足歩行にこだわる必要がない」という結論に到達し、本機は性能が認められたものの開発が中断されたことにより歴史の表舞台に登場せず消え去ったのであった。

上記の内容は本機の開発企業に残された情報である。
この機体もまた、時代の流れに飲まれ、消えた多数の機体の一つである。
いや、消えた機体のはずだったというのが正しい。いつの頃からか、本機に酷似した機体が観測され始めたのだ。
その場で見届けられたわけではないが、機体は評価試験後に処分されたと聞いた。
一から作ったのであればどこかからデータが流出したのだろうか、未練のあった開発チームの誰かが持ち出したというのか。気になる点はいくつもある。
だが、あの企業はとっくの昔に無くなっているし、もはやそれすら些末なことに感じる。

今、目の前にあるのは私達が理想とした機体なのだから。

BATTLE POINT

作品応募動機／作品に対するコメント

5周年記念に集大成として作成しました。
投稿せずに解体した構造や考察を組み込んでおります。この機体のようにそれらが新しい形で日の目を見られることを嬉しく思います。