SPEC

機体解説

　とある森林地帯、並びに隣接するヘテロドックス村落にて語られる噂がある。

　ある時、一機の新型バルクアームが村落付近で目撃された後森の中へと消えていった。戦いに敗れ落ち延びてきたのか、腕部が酷く損傷していたなどといった目撃談もあったようだ。
　損傷があろうと構わない、新型機を奪う絶好の機会と、村の荒くれ達が森へと勇んで踏み入り……。そして帰って来なかった。
　貧相な装備・機体で無謀に挑んだがゆえと呆れ悲しむ者もいれば、我こそはと続く者、敵討ちに燃える者もいた。数度となく行われた森林探索の、“たった1人の生還者”からの聞き取りが以下の通りだ。

　「話に聞いてた新型バルクのナリとは随分違うと思ったんだ。脚が短くて、腕は長く……、頭のあたりはのっぺりしててまるで首がねぇみたいだった。ナリの割には機敏に動いてたが、状況としては五分五分、どうにか勝機もありそうかと思った時だった……」
「電子音にしては嫌にぞっとする叫び声みたいなのが聞こえたんだ。その時やつは“大口”を開けて……、俺の相棒を噛み潰しにかかってた。それだけじゃねぇ！　やつの“口”の中には――」

　――件の生還者は帰還後酷く錯乱しており、発言の信憑性には疑問もある。しかし“主を失ったヘキサギアがいわば野生化している”のであれば、看過できない事態だろう。
　……バルクアーム系、それも新型となれば供給元はMSGであろうことから、可能性は極めて低いだろうが。もし万に一つ、搭載AIがKARMAであったなら――

BATTLE POINT

作品応募動機／作品に対するコメント

　λでも凝りもせず単キット組み換えに挑戦してみました。近年のキットは余剰部品・ジョイントが少なく(本体側に穴はあっても軸パーツが無い)、私程度のテクニックでは単キット組み換えに限界を感じて来ていた中、人型を逸脱させることこそできませんでしたがなんとか形になった次第です。

　いち人型メカとしての完成度は申し分なく高いキットですので、盛っていく改造がベストなのだろうなと所感を述べつつ、足の裏側が狐あるいはそれこそジャッカルに見えたアイデアは活かせなかったなぁ、と。