BA ラウドゲイル BA LOUDGALE
機体解説
BAラウドゲイルは謎の多い機体である。いつどこで、誰に、どのような経緯で製作されたのかが全く掴めておらず、ラウドゲイルという名称も誰かが呼び始め定着したに過ぎない。しかしその設計に関する情報はいつの間にか広く拡散し、様々な場所で幾つもの機体が組み立てられ実用に供されていた。都市や大企業と関わりの薄い辺境で活動する武装勢力か隊商が、手に入る範囲の部品と工作機械を用いて製作したのが始まりであろうと言われている。
その最初の一機は未だ特定できていない。
BAラウドゲイルの実装するシステムコンバートは完全にバルクアーム・グランツのフレーム構造に拠っており、この機体の成立に欠かせない要素となっている。しかしバルクアーム・グランツのもう一つの特徴であったBMI(ブレインマシンインターフェース)は搭載されておらず、それら仕様の取捨選択が本機の製造・保守・運用に必要な技術レベルの低減に大きく寄与した事は間違いないだろう。フレームもオリジナルのバルクアーム・グランツと比べると細部はひどく粗削りな仕様に変えられており、これは最初から部品の要求精度と機体の運動性能を抑えておくことで過酷な使用による性能劣化を低減し長期間の運用にも耐えられるように企図したものである。フレーム内部では低精度化を補うための補強策が巡らされフレーム全体の重量は増しているものの、そもそも大重量のBMI関連機材が一式存在しないため機体全体では問題となっていない。
標準的な外装は大部分が新規製造品で、バルクアーム・グランツと酷似している箇所も見受けられるが完全な別物である。製造者によって様々な仕様の外装部品が混在しありふれた金属材から出所不明の装甲材まで千差万別である上に、製造時期や場所によって手に入る装甲材も異なってくるため個体によって性能差が生じており更なる外装の追加や省略も枚挙にいとまがない。フレーム設計がバルクアーム・グランツの構造に拠る点からも、どちらかというと軽量化によって不整地での高い機動性の確保に重点を置いたことが見て取れる。
ワイルドタイプのオフロードタイヤはかつて装輪装甲車が装備していたものをそのまま流用しており、戦闘証明に裏打ちされた信頼性がその走行性能を確かなものにしている。
これらの仕様上の傾向が本来戦闘組織ではない隊商や難民の集団にも支持され、戦闘用ヘキサギアの主力が第三世代に移った時代においても求められる理由であった。
死の荒野に吹く風はいつも荒々しく旅人を迎える。ラウドゲイルの名はそんな風になぞらえて旅人の一人がそう呼んだに過ぎない。
搭載武器
- 標準武装は存在せず
しかし運用された例には下記武装を用いた物が存在したためここに記す。
大型ショットガン
人間用のショットガンをそのまま拡大したかのような大型ショットガンである。散弾を使用するため射程距離は短く貫通力は低い。しかし自分よりも運動性の高い脅威に遭遇した場合、広範囲に広がる散弾の使用は有効である。また従来のショットガンと同様にスラッグ弾の使用も可能となっており、用途に応じて使い分けることができる。グリップとトリガーを備えておりバルクアームやスケアクロウなどの簡易マニピュレーターにも対応しているものの、弾薬のリロードは自動で行えるため、「ロード・インパルス」などへの搭載も検討する価値がある。
大型グレネードランチャー
元々は大型の装輪装甲車に搭載されていた“モノ”にグリップとトリガーのみが増設されており無理やりバルクアーム用に改修したものである。弾薬の装填はランチャー側のリロード機構に拠って行われるが、これは出自がヒト型重機用に製造されたものではないからであり、第二世代全盛の時代に開発された兵器よりも簡易な構造になっていると言える。
複合兵装モンスターバレット
本来は両手に持って使用する銃火器である大型ショットガンと大型グレネードランチャーを無理やり合体させた兵装である。バルクアームシリーズは剛腕の名前に相応しく積載量に余裕があったため、武装を合体させてできるだけ多くの武装を持ちこみペイロードを有効活用するためだったと言われているが真偽のほどは定かではない。
モンスターバレットという呼称についても正式なものではなくある搭乗者が「怪物のような銃」と呼んだことが由来する。
内蔵式小型レーザーカッター
バルクアーム・グランツに標準搭載されていた内蔵式小型レーザーカッターと同様のものであるが2連式ではなくなっている。この武装も搭乗者による後付けとなっており個体によっては搭載されていない場合がある。レーザーカッターと呼ばれるが実際には出力を強化したバーナーのようなもので主に作業用として考えられておりバリケードや施設のゲートなど障害物を排除するために使用される。