
ブロッケード・アイビー BLOCKADE IVY

機体解説
ブロッケード・アイビーはジェネレーターシャフトを中心とする広大なMSG管理区域の外縁部における防御戦闘に備えるべくMSGヴァリアントフォースによって開発された砲撃戦闘ヘキサギアである。初期の第三世代ヘキサギア、ブロックバスターが空中機動によって高所などに砲を運搬し立体的かつ機動的に運用する機体であったのに対し、分類上は同じく第三世代の砲戦型とされつつも大型、多数の歩行脚による安定した射撃プラットホームとしての機能が重視されるなど純然たる自走砲としての地上運用が強く想定されている点で大きく特性を異にしている。
開発においては、まず広範な防衛戦域を射程内に収め対空射撃をも可能とする主砲の選定から着手され、これは第一世代ヘキサギア以前の時代に開発された電磁投射砲の基本設計が流用されている。次いでMSG管理区域内のいかなる地勢でも確実な砲撃を行うための姿勢制御と制振安定性を有した脚部歩行装置の仕様が定められ、第二世代末期の汎用部材を改修した物がこれに充てられた。そして複雑化した射撃及び姿勢制御システムの運用能力確保が可能な筐体として第二世代末期に試案され第三世代の台頭と共に廃棄された装甲型多機能操縦殻が改修採用されている。斯くして要求に応じ積み上げられた重量級の機体に、機動力を付与し主砲の連続射撃に必要となる膨大な電力を補うキャパシターを兼ねる装備として大型ブースターユニットが開発され、最終的にこれらを統合する制御システムとしてゾアテックスが実装された。完成した「世代をまたぐ出自を持つユニット群の集合体」という特殊な機体構成は損傷時の交換や分割転用も容易となっており、任務内容に応じたユニット単位での配備も行われている。
昆虫に類する形質から発現するゾアテックスは総じて安定した性質を持つ傾向にあるが、本機においてのそれも非常に静的、機械的で扱いやすいものとなっている。ただしこれはあくまで長距離射撃運用においての話である。ひとたびブロッケード・アイビーに接近するものがあれば、防衛本能のままに突進する巨体と圧倒的な膂力を誇る脚部の抱擁を受けることとなるだろう。
武器解説
超長距離狙撃用電磁投射砲
第一世代ヘキサギア以前から存在した強力な火砲の改良型。原型となった砲は電磁誘導加速による高初速と多彩な弾種を使用できることから往時は強力な装備であったが、電源を含む装備全体の質量に起因する可搬性の低さから第三世代ヘキサギアの旨とする機動戦闘には不適との評価を受け、その有用性に反して近年は新規に開発するヘキアギアの装備として検討される事は無かった。今回の実装にあたっては電源系統のヘキサグラム内装化、弾体を液体金属から適時成形する方式への変更など現状に即したアップデートが施されている。弾種は対装甲徹甲弾、キャニスター弾の他、特殊な弾芯を包含することで時限や近接で起爆飛散する榴弾のような運用も可能となっており、対空射撃にもこれが用いられるが、性能を最大限発揮させるには榴弾砲運用時には最前線部隊による観測情報、対空砲運用では防空警戒システムと連接するなどの組織的な運用環境が必要となる。連続射撃時は瞬間的に膨大な電力を消費するため機体後半部を構成する大型複合噴進機を補助発電機とし、さらにその上部に設置されたヘキサグラムストレージをキャパシターとすることで安定した電源を確保しており、他のヘキサギアに直接把持させるためのグリップオプションもその容積の大半を電源系の装置に割いている。
装甲型多機能操縦殻
第三世代ヘキサギアとしては珍しい、ガバナーの全身を完全に覆う密閉型の操縦装置。こうした密閉型操縦殻の長所の内、汚染環境への耐性については第三世代の台頭と共にガバナーのアーマータイプへと機能の主体が移っているが、複合装甲の持つ強固な防御力は同機の全高の低さも相まって高い生残性へと繋がっている。また、電子的にも高度な演算処理装置を持つことからブロッケード・アイビーに要求される仕様に好適であると判断され採用に至った。原型となったのは第三世代への過渡期にヒト型ないしはそれに準ずる形態のヘキサギア用として開発されていた設計データであり、近代化改修として各部の構成位置の調整、上面、側面の装甲及び側方視察装置の追加などが施されている。
近接防御用プラズマキャノン
操縦殻前面左右に各一門ずつ配置されたプラズマキャノン。ブロッケード・アイビーの運動性の低さをカバーするための近接防御兵器として、特に速射性を重視した調整が施されている。
センサーホーン
風速や湿度など電磁投射砲の直接照準射撃に用いる環境データの収集を行うと共に、各種砲撃支援システムとの通信を担うブロッケード・アイビーの“第三の目”とも言える装備。主砲直下、機体前面に露出した状態で運用されるため非常に堅牢に装甲化されており、敵ヘキアギアの接近を許した際の緊急手段として格闘戦で用いられることすらある。
大型複合噴進機
ブロッケード・アイビーの機体後半部を構成するユニット。可動式の大型エアマニューバスラスター4基と外殻装甲、上部に設置されたヘキサグラムストレージ2基から構成され、この部分だけは他のユニットと異なり本機の為の完全新規設計となっている。
ブロッケード・アイビーの機動力の低さをカバーする装備であり、歩行脚先端の車輪と併用した高速走行や短距離の跳躍飛行に用いるほか、電磁投射砲の射撃速度向上のための補助発電機としても機能している。
高剛性多重関節歩行脚
装甲化された長大な歩行脚は第二世代末期のヘキサギアの部品を近代化改修する形で調達され、左右合わせて6基が搭載されている。本来は第二世代を象徴する人型ヘキサギアの脚部として開発されたものであったが、ブロッケード・アイビーへの最適化にあたって可動部位の増設などを行い、その外観を大きく変化させている。アクチュエーターとしてヘキサグラム変異型の人工筋肉を用いた部位もあるが重量級の機体を支える為に強度と安定性を最優先した結果、第三世代機の装備としてはいささか前時代的な構造となっている。その分、こと強度に関しては折り紙付きであり生半可な攻撃では損傷しない高い信頼性を誇り、格闘戦においても敵機を捕縛さえしてしまえば頑強なシャシーユニットとの間に挟み込む形で一方的な圧殺を行う事が可能となっている。また、跳躍飛行を行う際はバランサーとしての機能も担う。