バルクアームβ 標準仕様 BULKARM β STANDARD TYPE
機体解説
バルクアームβは名機と評されつつも実戦運用を経る中で問題点を指摘されつつあった「α型」に対して改修を施した第二世代のヘキサギアである。開発・製造は「α型」と同じく軍産複合体MSGによる。
本機体の外観的特徴は主に脚部に現れており、脚部に移動用の補助装置を備える事で「α型」と比較すると巡航速度に大きな向上が見られる。これはバルクアームシリーズ、特に「α型」が耐久性に優れた装甲材を使用しているが故に機動力が犠牲になっており、戦闘車両など他の陸戦兵器との連携が難しかった事に対する一つの改善案である。
この高速化改修に合わせて頭部も「α型」から変更され、より汎用性を高めた中~近距離戦闘に適したセンサーを備えた機動戦を重視したモデルが採用されている。
搭載火器についてもメーカーから出荷された直後の状態である標準仕様ではサブマシンガンとヒートナイフといった最低限のものにとどめられており、ここにも高速化というコンセプトが表れている。
他にもα型との相違点として腕部作業肢のフレームの可動範囲の拡大があり、各種動作の自由度向上に伴い近接格闘における戦術も幅広いものとなっている。作業肢先端は「α型」から引き続きアイアンフィストを採用しているため、これを用いた打撃による格闘攻撃も同じく高い威力を発揮する。特にホバーユニットによる加速からの打突は有用な突撃戦術として知られている。
ガバナーは、機体が配備された瞬間から各々の任務や地形、戦況に応じた機体へとカスタムしていくため、上記のような標準仕様で出撃するものは少数である。
ある者は敵から奪い取った銃火器を増設し、またある者は装甲で固めた機体に白兵戦用の大型刀剣などを装備して戦場に赴く。
デベロッパーであるMSGが当時流通させていた兵器の多くが本機体を強化するための部材となり、数えきれない程のカスタム機が生み出されていったことは戦場に出たことがあるガバナーであれば誰もが知っている。
機動力を強化したβ型を好んで使うガバナーは、本来の機体特性を活かすために軽~中量級の武装を使用するケースが多く、時には装甲を減らす事さえあった。
しかしながら、刻々と変わる戦況やそれぞれの懐事情(そしてあるいは趣味嗜好)などの様々な要因によって“機体のコンセプトから外れた運用法”が取られるのは戦場の常であり、所属部隊の火力支援に配置するために面制圧用の大型火器を装備した結果、重量過多になり脚部ユニット自体を撤廃して積載性能の高い「クローラーユニット」に置き換えるなど、本末転倒とさえ言える装備で活躍した例も確認されている。
搭載武器
- サブマシンガン
- ヒートナイフ
- アイアンフィスト
- ホバーユニット
ヒートナイフ
バルクアームβの標準仕様が初期装備として持つ、短剣型装備。基部にヘキサグラムの装填孔を一つ備えており、ヘキサグラムを装填することで刀身を高熱化することができる。
ヘキサギア用の武装としては珍しいものではなく広く普及しており、様々な種類が流通している。格闘用の武装としては有効射程も短いため、主に作業用に用いられるものである。
マシンガン
バルクアームβの標準仕様が初期装備として持つ、速射力に優れた安価な機関銃。バルクアームシリーズと共に全世界に広く普及している。
軽量で取り回しに優れているが、高速化した発射サイクルに対して装弾数は十分とは言えず、多くのガバナーは予備の弾薬を追加装備して運用している。とはいえ、もとより配備先の状況に応じて武装を変更して運用する想定のため、どちらかと言えば補助火力として歩兵への掃射などに効果を発揮する火器である。戦場では大型弾倉から弾帯が伸びたガトリング砲のようなより高火力の火器に置き換えられた姿なども多く見られる。
ホバーユニット
バルクアームβシリーズから両脚部に標準装備されたエアクッション型移動装置。底面の強力なエアフローターによって地表から僅かに浮揚し後部の回転翼から推進力を得るという構造は、平滑な路面上では摩擦抵抗がほぼ発生しないため良好な加速性能を示し、クッションスカートによりある程度の不整地走破性も備えている。化石燃料を使用した時代には非常にエネルギー効率が悪いとされてきたこの方式も、ヘキサグラムの登場以降はその問題も解決されており、これまで長距離移動時は歩行脚による自走ではなく何らかのキャリアーを必要としていたバルクアームに単独での広い活動範囲と高速移動能力を付与する事に成功している。
靴を履くように取り付けられる後付けの外部拡張機器であるため破損した場合の交換が容易であり、α型からの改修や復帰も自在に行える。また、取り外したホバーユニット単体をガバナー用の小型ビークルとして使用する事も可能となっている。