バルクアーム・グランツ BULKARM GLANZ
機体解説
機体登録名称「バルクアーム・グランツ」
世代区分を「2.5世代」とされる本機は、バルクアームシリーズのデベロッパーであるMSGではなくサードパーティーであるマクスウェルギアーズが独自に開発したものである。
兵器としての在り方を考慮せず、第二世代が指標とした「人型重機の限界を追及する」ことをコンセプトに設計者の理想とする姿を投影した本機は、野心的技術を多数導入しつつ予備機を含む少数が製造され、一部は実戦にも投入された。
設計上の特徴として、防御力を代償に軽量化を行い、加えて機動力向上のための「アシストホイール」を仕様に盛り込んだことで二足歩行型でありながら高い機動性と運動性を実現した点が挙げられるが、これは結果として“機動性は歩行ではなく装輪等別の手段によって確保する”という機体構築における一つの結論に至ったとも言え、ある意味で第二世代の終焉を後押ししたとも言われる。しかし、この機体で初めて採用された「システムコンバート」は第三世代「ゾアテックスヘキサギア」でも多くの機体に標準搭載される機能となり、ヘキサギア開発史に残した成果は大きい。
また、新技術として「BMIグラムサイト」が開発中であったブレインマシンインターフェース、通称「BMI」を試験導入しており、いくつかの課題は残すものの高精度な作業肢(マニピュレーター)制御を実現し、様々な外部機器を接続規格を問わず自在に扱うなど、より人間に近い動作を獲得している。標準仕様での武装はライフル、内蔵式の小型レーザーカッターのみと決して高火力とは言えないが、本来ヘキサギアは単独で完結するものではない。ヒトと同じく幅広い外部機器によってその特性を大きく変えるのである。
余談だが、設計者は自らを古典コミックマニアであると明言しており、その趣味を多分に反映した外観デザインとなっているため試験運用にあたった部隊からは「過分に趣味的なデザインで戦闘には不適である」というレポートも提出されている。
しかしながら、原始的な刀剣類をはじめガバナー同様に銃器を扱い、戦場を高速で駆ける「鋼鉄の巨人」は人々の記憶に強く残り、人型重機を熱望する投資家やガバナーを多数生み出している。その結果は世界中に残されたレプリカやイミテーション、アレンジモデルの数が物語っている。
搭載武器
- ライフル
- シールド
- アシストホイール
- 超硬度マニピュレーター
- 内蔵式小型レーザーカッター
試製ライフル砲
標準装備の一つとして試験的に製造された中型ライフル砲。
あらゆる操作を“手”で行う事を前提として設計されており、把持、撃発 から弾倉交換に至るまで、より人間に近い複雑な動作を可能にした新型マニピュレーターシステムによって行われる。特にこのクラスの火砲においてこれほど機械的・間接的に操作を行う例はこれまでになく、あくまでもBMIやマニピュレーターなどの挙動を検証するためのテスト器材である。しかし通常の火器管制システムによる操作系も予備的に残されており、こちらを用いることで従来通りの火器として扱うこともできる。
本武装に限らず、バルクアーム・グランツにはヒト型である事の可能性を模索する為の拡張武装が多数用意されており、それらは機体を運用する環境、目的に合わせて適宜選択される。
シールド
本機は要求される高い機動性と運動性を実現すべく、より軽量な素材を最低限の厚さで実装した軽合金装甲としたため、総合的な防御力は母体となったバルクアームαやβと比べて低下している。しかし、ガバナーの生残性を高めるべくビークルモード時のコクピット前面カウルを兼ねるシールドに限っては重金属材や碑晶質が多く用いられており非常に頑強である。
内蔵式小型レーザーカッター
両前腕の外側に位置する作業用装備。本来はバリケードや施設のゲートなど障害物を排除するために備えられたものであるが、近距離での格闘戦に応用される場合もある。
試製新型マニピュレーターシステム
試験段階ながらBMI操作による指先の繊細な動きを実現した高精度作業肢。“ヒト型ヘキサギア”を形作る上で重要な部位であり、様々な目的や形状を持った拡張武装を直観的に操作する為に、耐摩耗性に優れた素材を惜しみなく使用した非常に精巧で複雑な構造を持つ。BMIの要求する俊敏で繊細な挙動を実機で検証し、被衝撃や動作回数による精度の低下にどう対策していくかが課題となっている。
先端部にはメタルスティンガーと呼ばれる非常に硬度が高く鋭利なブレードが装着され、作業肢を防護している。非装甲部位を狙う「貫手」のような攻撃手段に使用することもあるが、中間関節部の損壊は避けられず以後の装備運用に支障を来す可能性が高いため、最後の手段として使用される。