アーリーガバナー Vol.3 EARLY GOVERNOR Vol.3
設定解説
国家がまだ存在していた時代から、いわゆる軍組織における女性の登用はそれほど珍しいことではなく、下は一兵卒から上は将官まで、体格の差を乗り越えて武器の扱いに習熟し、戦術を学んだ彼女たちは熟練の兵士として前線部隊に入り混じって任務に就いていた。
減り続ける世界人口が兵士の定数を圧迫し続けるという時代の要請もあったとはいえ、彼女たちは懸命に努力し、勇敢に戦い、そして退いていった。
また民間の技師や医師なども特務階級付けで軍に配属され、その技能を発揮していた。
やがて国家が崩壊してからは無数の難民が集団となって旧国境を踏み越えて流出し、誰もが武装して自衛する必要に迫られると、かつて彼女たちが用いた装備はその仕様のまま浸透拡散することとなる。難民の中には女性と未成年者が多く含まれ、彼女達がこの過酷な状況を長期間生き延びてゆくための命綱として、最後の拠り所となった。
そんな時代が数十年に亘って続いた。
生産性を取り戻せなかった地域の社会基盤は消耗だけを続け、総人口も減少を続けていた。
それでも少数の新しい世代が現れてくる頃になると、難民だった集団の一部は離散集合を繰り返しながらより積極的な武装集団――傭兵組織を形成し、ある者は荒野に自らの拠点を定め、またある者は未だ稼働している都市に居場所を得て、武力を売買することで地域経済の中に再び組み込まれていった。
そうした組織の中に、ラフネックスと呼ばれる小部隊があった。
その指揮官イライザ・フォックスなる女性兵士は往時の女性士官を思わせる勇壮と理知を兼ね備えた人物であったという。隊を率いながら自らもヘキサギア ブロックバスターに乗って戦場を駆け巡り、射手としても勇名を馳せた人物であった。
ラフネックスは小隊規模のごく小さな部隊であったが、装備するヘキサギアの中にレイブレード・インパルスが含まれた頃から、危険な存在として周囲の注目を集めることになる。
武装解説
アーリー80(汎用戦闘装備品類・軽装仕様)
ヘキサグラム対応型歩兵戦闘服アーリー79には装備をより軽装化した派生型、アーリー80が存在する。主に従軍医師や技師などに向けてヘキサグラムを装備しつつより動きやすい戦場作業服として開発された。重量の軽さから女性兵士や少年・少女兵にも多く支給され、国家体制の崩壊に伴う混乱期に入ると民間にも広く流出するようになっていった。
使用されている布地や幾つかの部材は標準仕様と同じものだが、固定装備だった腕部の情報端末などが省略されており、実質的にヘキサグラム装填孔一基を備えた衣服となっている。背面のヘキサグラムは主に電源として機能し、装備者が携行する様々な機器への電力供給を行う。アーマータイプやパラポーンなどと違って装備者の動力にリソースを割かれないため供給電力量は非常に高く、医師や技師の要求する高度な電子機器の使用にも対応した。
重度汚染環境下での活動を想定していない為に密閉性の要求が低く補修やサイズの仕立て直しも比較的容易で、頭部装備や靴の選択範囲も広く他の軍用装備品とも積極的に混合が進み、現在ではアーリー79以上に原型を留めないほど多種多様化して製造されている。