
ガバナー バンプアップ・エクスパンダー GOVERNOR BUMP UP EXPANDER

設定解説
パラポーン・エクスパンダーは重金属の内部骨格を高密度のヘキサグラム人工筋肉で覆った極めて特殊なパラポーンである。通常のアーマータイプやパラポーンを上回る重く頑強な躯体を持ち、ジェネレーターシャフトをはじめ各地の結晶炉周辺を主戦場とし、ヘキサギアとの正面戦闘すら可能である。その躯体の制御精度は独自の有機コンピュータにダウンロードされる情報体の適合性によって大きく変動するため、情報体の選定もSANATによって直接行われている。
しかしそのエクスパンダーでさえも、恐るべき速度で進化を続ける“戦場”という環境にあっては徐々に優位性を失ってゆく。かかる事態を受けSANATはパラポーン・イグナイトをはじめとする高位情報体の為の装備更新計画「プロジェクト・バンプアップ」を提案し、実行に移した。
本計画に於けるエクスパンダーの要求仕様はリバティー・アライアンスの新型第三世代ヘキサギア、そして「モノケロス」「ケツァール」のような特有の能力を持つ強化兵士に対抗する事に主眼が置かれた。それは元より大型であった骨格を更に拡大再設計、そして元より硬く引き絞られていた人工筋肉を更に厚く重ねるという暴力的、かつ単純明快な物であった。このエクスパンダーにおける“バンプアップ”は自重と体積の増大よる活動域の制限やヘキサギアへの搭乗すらも一部断念させたが、さらなる防御能力、重火器運用能力を実現すると共に、増加したヘキサグラム人工筋肉による運動性の向上は装甲と重量を活かした高い白兵戦能力として結実した。しかし、これら躯体の改変はダウンロードされる情報体にも影響を及ぼし、ただでさえ少ない高位情報体の、さらに一握りのものにしか御しえないものとなった。
圧倒的な暴力で敵勢をねじ伏せた骸の原野でなお殺到する機械の獣群を睨み据えながら、それでも冷静に戦域を支配する姿はさながら旧時代の軍神を彷彿とさせる。