モーター・パニッシャー MOTOR PUNISHER
機体解説
アースクライン・バイオメカニクスが開発した最新の空中機動型軽戦闘ヘキサギア。
航続距離や連続飛行時間などの機動性を重視しており、治安維持や偵察任務に多用される。
基本的なフレーム構成はブロックバスターに近く、一部の中枢フレームは共通部品を使用しているが、上部の構造は全て要求仕様に沿って新たに設計された。
その中でも最大の特徴は前後に配置された回転翼式の浮揚機構である。これによって空中での静止やその状態からの垂直・水平移動への遷移を行い、比較的狭隘な環境でも飛行や離着陸を可能としている。
また、操縦者の他に更に1名の乗員を乗せることが当初から盛り込まれており、これによって機上からの監視や射撃、降機しての連携、連絡員の移送など、戦術と用途の幅を大きく広げることに成功した。この乗員を2名とする仕様については実際に戦闘用ヘキサギアを運用していた前線部隊からの強い要望で採用されたと言われている。
また、バイティングシザースを省略して更に軽量化し、連絡機や軽貨物運搬機としての使い勝手を増したいわゆる『雌型』と呼称される機体が現地改修で現れている。戦闘によってバイティングシザースを損傷した機体が改造されており、グラップルブレード(脚部)も破損している場合はブロックバスターから流用しているものもある。
ゾアテックスの挙動はブロックバスターのそれとは大きく異なる。これはモーター・パニッシャーの開発された時期に起因しており、より高い獣性の発現を求める現在の仕様に準じた結果、攻撃衝動により偏った性質が発現している。ロード・インパルスやボルトレックスとも異質なそれは昆虫的な凶暴さと鈍感さを併せ持ち、一例として対象物に噛み付いたモーター・パニッシャーがヘッドユニット以外を破壊されてもなお、対象を破壊しきるまでバイティングシザースの動力を喪失しなかった事例がある。
本機においてはビークルモードとゾアテックスモードがほぼ類似の形態であることも特徴の一つであり、アサルトモードとも称されるこれはゾアテックスの支配下のままに強い攻撃性を保持する。この形態は最高速度に特に優れており、前方に集中させた6本のブレードで範囲内に捉えた標的をフォーククローの様に破壊する。
モーター・パニッシャーのこれらの構成には様々な戦闘用ヘキサギアから得られた戦訓がフィードバックされており、全体のフォルムとコンポーネント配置はより洗練された。各部位を取り外して他機体に装備する例も多く、最新型の名に恥じない戦闘用ヘキサギアと言える。
搭載武器
バイティングシザース
機体前部に装備された大顎状の破砕装置。建造物解体に用いられる圧砕機を軍用化したものであり、二箇所の関節によって対象を確実に捕捉し、巨大な圧力によって破壊する。前部浮揚機構及び操縦装置を含む頭盾部位と組み合わせて機体前部に備えており、操縦者は機体を直接操作する感覚でこの装備を扱うことが出来る。
この装備の最大の特徴は火器を使用せず対象を破壊できることであり、これが都市や居留地での治安維持に用いられる理由となっている。内側にはカッターも装備して切断にも対応し、進路啓開など工兵部隊での用途も多い。
対ヘキサギア戦闘では破砕によって六角形のフレーム構造を損傷、装填されたヘキサグラムを脱落させることで無力化する。
グラップルブレード
脚部先端に装備されたブレード状の装備。通常時は着陸及び歩行脚として機能するが、その本質は格闘装備である。
鋭利な先端はそれだけである程度の攻撃力を持ち、装甲化されていない目標であればグラップルブレードだけでも破壊が可能。高速飛行中の格闘など多くの使用法がある。
アサルトモードではグラップルブレードによってまず自機を対象物に固定、対象物の動作を阻害しバイティングシザースと合わせた攻撃で標的を確実に破壊する。
オートマチックグレネードランチャー
バイティングシザース内に装備された自動擲弾発射機。
装弾数こそ少ないが榴弾のほかにも多様な弾種に対応している。
弾倉式の装填装置を持ち、出撃時に任務に応じた砲弾を選択して装備する必要があるが、初弾を催涙弾、次弾以降をスタン弾とするなどの混載は可能となっている。
エアフローター
ヘキサグラムを動力とする回転翼式の浮揚装置。この飛行方式はヘキサグラムの単純な回転動力のみを利用するものであり、ブロックバスターのものと比較して飛行高度や最高速度で大きく劣るものの、より長時間の連続運転と低速時の繊細な制御を可能としている。