機体解説

謎に包まれた出自を持つ第三世代ヘキサギア「レイブレード・インパルス」。
この機体が部隊に加わった瞬間から、ヘテロドックスの一集団に過ぎなかった傭兵部隊ラフネックスの評価は劇的に変わった。リバティー・アライアンスの末端兵力を充足するだけの些末な小部隊から、規格外兵器を保有する危険な武装勢力へと。

アースクライン・バイオメカニクス社の代表ヴァージニア・アースクラインとの個人的な契約に基づきMSGの管理区域を目指し移動を続ける姿を度々目撃されながら、未だに確たる目的も判然としない彼らに対し、ヴァリアントフォースは強い警戒を示しいくつもの特務部隊を差し向ける。そしてそれはリバティー・アライアンスにとっても同様であり、指揮系統から逸脱した彼らの独自行動に疑念を抱かざるをえなかった。特に上層部のある派閥に至っては、武力による早急な制止を声高に主張したという。結果、内外両面から彼らに対する追跡の手は常に絶えることはなかった。

荒廃した大地を渡り歩く長い旅路と、終わりなき熾烈な戦闘。
幾つのもの夜を越え、やがてその日は来た。
リバティー・アライアンス最新鋭の第三世代ヘキサギア L.O.Z.【LORD OF ZOATEX】を中核とした所属不明部隊による急襲を受けたラフネックスは、壊滅する。
かつてリバティー・アライアンスの“白き獣”の名をほしいままにしたヘキサギアも、果てなき闘争の坩堝の底で己が眷属の手に掛かり、無残な姿を荒野に晒した。
だが、それは終わりではなかった。
 
 

【Reloadead】

 
かつて最速、最強と自負した身体が崩れ落ちようとも、その魂たるKARMA「RAY」は識っている。己が半身として共に戦った少年には未だ救うべきヒトが、戦うべき理由が在り、そして半ば機械に置き換わって尚その体内に戦い抜く闘志の炎が燃えている事を。
 
——ならば、応えよう。
 
小さな筐体の中、電子情報の波間に揺蕩っていたRAYは、再び届いた懐かしい声に僅かに身震いすると、かつて自身を生み出した偉大なる知性、Dr.ハインラインの遺したパンドラの箱“マスターブートレコードボックス”の鍵を再び開く。
破壊という弾丸を込めた新たなる身体を創造する、その為に。
 
こうしてヴァージニア・アースクラインとRAY、存在は異なれど同じ源流を持ち、同じ少年に惹きつけられた二つの知性は、密かに新たなヘキサギアの開発に着手する。立ちはだかる壁は高い……ならば躯体は更に強く、大きく、最新鋭のヘキサグラム変性人工筋肉で支えよう。
斬り伏せるべき敵は堅い……ならば規格外兵器「オリジナル・レイブレード」の破滅的な大出力放射を定常的に運用しうる強靭な心肺を備えよう。
 
 
斯くして、この世にただ一機の強襲用高速戦闘ヘキサギアが再誕する。
その背後に“天頂に臨む大翼”と“天底を覆す顎”を従えて。

搭載武器

オリジナル・レイブレード

詳細不明

チェーンガン

「レイブレード・インパルス」に装備されていた物から若干のアップデートが施された機関砲。
主兵装であるオリジナル・レイブレードの使用は常に土壌の汚染という問題が付きまとうため、ガバナーであるアッシュは通常の戦闘では“圧倒的な移動速度を活かした、脚部による格闘戦”というスタイルを確立しており、基本的な作動原理にヘキサグラムが関わることのない実弾兵器はやはり最適な兵装選択であった。
ガバナーの単独行動時に携行火器として運用する為のグリップが新たに追加されている。

グレネードランチャー

「レイブレード・インパルス」に装備されていた物から若干のアップデートが施された自動擲弾発射器。【Reloadead】に搭載された装備の中ではあくまで補助兵装としての意味合いが強いが、ガバナーであるアッシュの戦闘スタイルに適合した火器として採用された。進路上の障害物の破壊や攪乱、曲射による砲撃など、格闘戦に至るまでの端緒に使用されるケースが多い。

インペリアル・ロアー

回収されたオールイン・ジアースの頭蓋の解析結果から復元された装置。咆哮を浴びたゾアテックスヘキサギアを“萎縮”させるという効果は変わらないが、新たに咆哮の効力範囲や投射方向を制御する事が可能となっており、格闘戦を主体とする【Reloadead】の機体コンセプトと極めて高い親和性を持つ。

グラヴィティコントローラー

インパルス系の第三世代ヘキサギアに搭載される重力制御装置の総称。機種により性能に差はあるが短時間であれば垂直面や天井面での自立や走行を可能とする装備である。「レイブレード・インパルス」にも同様のユニットが搭載されていたが、そちらが比較的弱出力に調整されていたのに比して【Reloadead】のそれは潤沢なヘキサグラム出力を活かした極めて強力な物となっており、本来の用途以上に格闘戦における打撃力の向上に寄与している。