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MECHANIC 機体情報

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スティールレイン STEELRAIN

機体解説

スティールレインは2.5世代に分類される回転翼機型の可変ヘキサギアである。

長く続く企業間抗争の原因となった結晶炉とそれが生み出す莫大な価値を求め、人々は環境管理AIの警告を無視し欲望のままにヘキサグラムを生成し続けた。必然的に加速する大地の汚染に対し、抗争の早期終結の必要を覚えた世界最大規模の軍産複合体MSGは、戦局を打開する一手として、新たなコンセプトを持つヘキサギアの開発に着手した。完成した新型機は、内容としては第一世代に近い“動力をヘキサグラムに置換した回転翼機型”である「前期型」と、それにヒト型へのシステムコンバート機構を付与した「後期型」が存在し、両者は外観こそ酷似しているものの、その特性は大きく異なる。

前期型は当時すでに世界中から姿を消しつつあった航空機であるという点以外に大きな特徴は無いながら、標準仕様として備えた2門の20mmガトリング砲をはじめとした豊富な実弾兵装オプションは高い信頼性と対地攻撃能力を誇り、上空からの攻撃という特性との組み合わせは車輌や二足歩行を基本とした当時の第2世代ヘキサギア全般に対して非常に大きなアドバンテージとなっている。
後期型ではこれに加えて操作系に追加されたBMIと作業肢による極めて迅速な火器の換装、物資の運搬と、可変機構によって地上での制圧戦闘までこなす汎用性をも持つに至り2.5世代型ヘキサギアとして区分されている。ただし機体の生産コストについてはバルクアームα数体分にまで肥大化し、第二世代ヘキサギア全体でも見ても明らかな高コスト機体であったと言わざるを得ない。運用面においても航空機故の繊細な機体整備と頻繁な弾薬補給は搭乗ガバナーの手に負える物では当然なく、高度な技術を備えた各種地上支援部隊の存在が肝要であったことは言うまでもない。またその飛行性能を十全に発揮するにはメインローターの動力だけで相当数のヘキサグラムを必要とし、これも他の第二世代ヘキサギアの十数倍に達している。これは大重量の物資やヘキサギアの空輸すらも可能とした仕様の代償であるが、特に変形機構のために自身の重量も増加している後期型で顕著となっているため、総合的なコストを重視した結果、敢えて前期型を選択し運用する部隊も存在したという。
戦線へのスティールレイン部隊投入の効果は安定して高く、後年においてもその成果は十分にコストに見合ったものであったと評価されているが、この大きなリソース負荷に応え続けることは巨大資本を誇る当時のMSGであっても容易ではなかった。このような事情から、「逼迫した戦線に投入され暴風雨さながらに劇的に前進させたにも関わらず直後に基地から追い出された」というジョークすら残している本機だが、対峙する側から見た場合には当時最も多くの者に恐怖を与えたヘキサギアとして語り継がれている。

戦場の空に現れた“鋼の雨”は、吹き荒ぶ銃弾の嵐で地上を這うすべての“もの”に沈黙を強制するのだった。

「MSG管理区域内に侵入する不明勢力を確認。これより排除行動に移る」

搭載武器

  • 20mmガトリング砲
  • 空対地ミサイル
  • ロケット弾ポッド
  • 対人機関銃
  • アイアンフィスト

20mmガトリング砲

かつて航空機が標準装備していた重機関砲を4砲身型に改設計したもの。
対地攻撃の主力火器として発射速度よりも命中精度を重視しており、これはスタブウイングではなく左右腕部に直接装備している点からも伺える。
しかし弾薬消費量は尋常なものではなく、しばしば増設弾倉が用いられた。スティールレインのような回転翼機が給弾機構を機体外部に大きく取り回すというのは様々な面でリスクの高い方式であったが、それだけ主力火器として想定以上の多量の弾薬を現場は必要としていたとも言える。
時代が下ってもこのガトリング砲は製造が続けられており、大型ヘキサギアへの搭載や簡易設置用の砲座まで作られた上で陣地機関砲として広く使用されている。ここでは使用砲弾を特殊なものとせず、既に普及し流通量も多いものを選んでいたことが利点となった。
それでも弾薬の消費が激しい点は変わらず、発射速度をあえて更に落とすような改造も多く行われている。

空対地ミサイル

地上を移動する装甲目標への攻撃を目的とし、標的を自動追尾する機能を備えた兵器。
設計製造は非常に古く、特に誘導方式は第1世代ヘキサギア以前の過去の産物である。
それはミサイル内に独自のレーダー誘導装置を内蔵し、発射母機が命中を見届けることなく離脱行動に移ることを可能としている反面、製造に高い技術を要する誘導装置を一発ごとに使い捨てにするため弾薬コストは最も高価となる。実際に配備されたミサイルもかつて製造され遺されていた物の再生品が殆どで、当時でも新規生産されたミサイルは製造不良が少なくなかったとされる。
しかし、他にはない高い命中率と確実な破壊力はやはり大きな脅威であった。

ロケット弾ポッド

ロケットランチャー14基を円筒型のポッド内に収め、同数の無誘導ロケット弾を連続で次々と発射する兵器である。
弾速は遅く命中精度も望むべくもないが、炸裂時の加害範囲と連続した射撃によってそれを補い、瞬間的な火力投射を実現している。ミサイルのような誘導装置がなく単純な構造の為に一発当たりの価格は比較的安く、20mmガトリング砲と並んでスティールレインから最も多く撃ち放たれた火器であった。
主に地上の固定目標に対して用いられるが、走行中の車列や船舶などへの攻撃も頻繁に行われておりその痕跡は今も各地に残っている。

対人機銃

スティールレイン機首下部に装備された小型の機関銃塔。
上下左右に旋回可能で、内蔵された照準器を高精細なセンサーとして任意の方向に指向し索敵に用いることも可能である。
20mmガトリング砲とは別にこのような火器が装備されたのは、旧来の回転翼機の様式に従ったということもあるが、極めて低い高度に滞空し制圧射撃を行うことも求められていたからでもある。そうした状況で、至近距離に点在する歩兵や低強度の脅威に対処する為にはこのような可動式の銃塔が最適とされた。
システムコンバート機能によって回転翼機としては破格に重い部類となった後期型では、防御火器としてもその重要性を増している。

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