
ブイトール V-THOR

設定解説
V-THOR【ブイトール】とはボルトレックスの後継機となるべくリバティー・アライアンスの総力をもって開発された汎用二足歩行ヘキサギアである。本機の開発・製造はL.O.Z.のプラン変更と共に思わぬ方向へと転じることとなり既存のあらゆるヘキサギアとは異なる運用システムの採用に至った。KARMAを搭載しながらもゾアテックスは実装しない点から第二世代に区分されるかというとその論は誤りで、本機はどの世代区分にも該当しない特異な機体であり、強いて呼ぶなら第四世代である。
同機をそのような存在たらしめているのはヘキサギアとガバナーの完全同一化を実現する「忘我廻廊」という独自のシステムである。ヒトとマシンを繋ぐBMIを極度に推し進めた末に生まれたこのシステムは両者を高次にシンクロさせ搭乗ガバナーの没入状態を惹起、機体は強化兵士の神経伝達速度に並ぶほどの反応速度を実現することにより驚異的な運動性能を発揮することが可能となる。主要な駆動部をL.O.Z.と同じ最新の人工筋肉で構成した機体はガバナーにとって自身の腕や脚と何ら遜色なく自在に操作できる肢体同然となり、ブーステッドアーマータイプとも表現できる。
ガバナーはBMIを通しV-THORを介して外の世界と通じていると言っても過言ではない。機体の眼で、装甲で、人工筋肉であらゆる外部事象を直接感じ取るのである。この完全同一化はガバナーの精神状態によって制御パフォーマンスが大きく左右されるのは言うまでもなく、搭乗ガバナーの集中力が減退した途端に大きく低下してしまい、また神経系に不調を来たすケースも多く見られる。安定した性能を発揮するには精神的な鍛錬も必要であり、従軍歴の長い兵士など心身のバランスが安定している人材が望ましい。この特殊なシステムを搭載していることから、実質的な稼働機体数は非常に少ない。
標準装備の一つである身の丈を超える荷電式超大型戦術刀はエクスアーマータイプ:モノケロスの「月光」を大型化したものであり、プラズマ荷電させた刀身はブイトール自体の運動速度とも合わさって第二世代ヘキサギアの重装甲だろうともたちどころに両断する。HDプラズマキャノンはヘキサグラムストレージを交換可能な外装式とすることでエネルギーの供給を独立、本体の運動能力を損なうことなく連続した火力投射が可能となっている。腰部に装備する「イグジットスライダー」には推進装置およびグラビティコントローラーが内蔵されており、本体の運動能力を補助するほか分離して浮遊体となることで高い機動性を実現している。
V-THORは兵器としては第三世代ヘキサギア以上に不確実な要素を内包する。それが分かっていてなお本機が実戦に投入されたのは、紛れもなくナイトストーカーズ部隊からの一通の報告書が関係している。
自己進化の成れの果て、または名前の無い“奴”と称される謎の個体との遭遇がすべての原因である。この“雷神”は鍛え上げられた歴戦のガバナーの魂を機体に宿し、やがて来る“生きる機械の巨人”を迎え撃つために必要だったのだ。
搭載武器
- 忘我廻廊-メギンギョルズシステム
- 荷電式超大型戦術刀
- HDプラズマキャノン
- イグジットスライダー
- グラビティコントローラー
- アイアンネイル
武器解説
忘我回廊【メギンギョルズシステム】
ガバナーとヘキサギアの完全同一化を実現するためBMI技術を極度に推し進めた末に生み出された独自のシステムである。ヒトとマシンの境界を曖昧にし、機体を自らの肉体と感じさせるほどに両者を高次にシンクロさせ搭乗ガバナーの没入状態を惹起、強化兵士の神経伝達速度に並ぶほどの反応・伝送速度を発揮させる。これによりゾアテックスに依ることなく驚異的な機体制御性能と運動性を実現している。別称のメギンギョルズシステムという呼び名はV-THORという名前の由来となった北欧神話に登場する雷神トールが身に着けていた力帯に由来しており、締めることによって神力が2倍になったと伝えられていたことから名付けられている。
イグジットスライダー
リフターとグラビティコントローラーによってV-THORの運動性と機動力を補強する外部装置。通常は腰部左右に分割して装備されており、忘我廻廊の下で跳躍や高速運動時の姿勢制御に使用される。本体から分離した2機が連結することでボード状となり、V-THORを積載して低空を浮遊飛行する移動装置となる。V-THORはこれによって地表の状況に左右されることなく、また水上をも迅速に移動可能となっている。
荷電式超大型戦術刀
モノケロスの使う荷電式大型戦術刀「月光」を大型化したV-THORの標準武装。刀身にプラズマ荷電して対象を切断破壊する白兵戦用の兵器である。V-THORの運動性と忘我廻廊の機体制御がもたらす高速・高精度の斬撃は、第二世代ヘキサギアの重装甲であろうともたちどころに両断してしまう。東洋の古い刀剣をモチーフに設計された反りのある刀身は、紫電を纏い美しく輝く。
HDプラズマキャノン
正式名称は「HIGH DENSITY PLASMA CANNON」。ウインドフォールに採用されていた外部電源式のエクシードプラズマキャノンの発展型である。大容量のヘキサグラムストレージを備えており、高温高密度なプラズマ弾を発振させることが可能。
忘我廻廊こそを最大の武器とするV-THORは同時に機械的に不安定でもあり、実戦兵器としての信頼性を担保するためにこのような重火器が用意された。
機関砲
多砲身型の重機関砲。ガバナーの負担を軽減するためにあえてHDプラズマキャノンと同規格の操作系で構成されている。