ゼニス・リヴェール ZENITH REVEAL
機体解説
アースクライン・バイオメカニクスの野外試験場にて、未確認の巨大な機影が飛び立ったとの通報があった。近隣の哨戒に就いていたウインドフォールの編隊が即座に該当空域へ向かったものの接触には至らず、おそらくは高々度まで垂直上昇したのち最短ルートで管理区域外へと飛び去ったとみられる。また同時刻、付近の汚染環境センサーが発した警報はかつて竜撃戦にて規格外兵器レイブレードが使用された際と酷似したパターンを示していたが、同社は関連を否定している。
ゼニス・リヴェールはこれまでの規格からは大きく逸脱した飛行型の第三世代ヘキサギアである。
ヴァージニア・アースクラインとレイブレード・インパルスのKARMA『RAY』の設計を元に、アースクライン・バイオメカニクスの工廠が秘密裏に一機を製造した。機体構造の一部にレイブレード・グライフの残骸から回収された機材を用い、翼端部のレイブレードをヴァージニアから供与されたオリジナル・レイブレードへと換装、レイブレード・グライフ固有の装備であったオーバーレイウイングを復元して装備している。人工知能KARMAもグライフに搭載されていた筐体が転用された。搭乗ガバナーには白堊理研製のエクスアーマータイプ:ケツァール、その中でも特に『白鳳嘴』と名付けられた個体が指定されたという。
空路による長駆侵攻能力と強力な対地攻撃能力、飛行型ヘキサギアとしては破格の防御力による高い生残性、さらに規格外兵器オリジナル・レイブレードの運用能力をも備える同機はこれまでに類を見ない兵器であり、MSG管理区域への侵攻を企図するリバティー・アライアンスが今まさに必要とするものであった。アースクライン・バイオメカニクスでは件の“怪鳥”が飛び去った後に複製機体の製造を試みているが、オリジナル・レイブレード及びレイブレード・グライフに由来する機構部分が完全には再現できず断念せざるをえなかった。これらの試作機体や部品も最初の一機と同様に秘匿扱いとなっており、現在に至るまでリバティー・アライアンスに対してもその存在は伏せられたままとなっている。
———白堊理研の壊滅。
突如飛来した白い飛行型ヘキサギアの攻撃によって主要区画を徹底的に破壊され、更に規格外兵器レイブレードと思しき兵器の使用により一帯は重度の汚染地帯と化した。なお、襲撃者はリバティー・アライアンスの所属識別信号を発していたという未確認情報もある。
「あの女は約束を守り、俺たちの復讐は終わった。次は俺たちが約束を果たす。
行こう、アルバトロス」
空高く舞う大翼の背で、かつてフリット・バーグマンと呼ばれた人物が呟く。
その白い顔貌の影からは如何なる表情も読み取ることは出来なかった。
武器解説
オリジナル・レイブレード
詳細不明
オーバーレイウイング
巨大な翼状の複合兵装。
規格外兵器オリジナル・レイブレードの生み出す膨大な電磁気力を専用の碑晶質によって偏向し、防護フィールドとする非実体防護システムの一種。また機体を浮揚、飛行させている原理そのものでもある。その様は巨大な翼状の励起光そのものである。
基幹ユニットにオリジナル・レイブレードを用いているが、通常飛行時にはこれを展開していないことから限定的な稼働出力しか必要としないと考えられ、汚染の拡散も軽微となっている。ヘキサグラムの消尽も少なく、高効率の機動力を実現している。
同装備がレイブレード・グライフに由来することは間違いない。ただしかつては鈍い金属光を放つ斑紋を持っていた碑晶質はレイブレード発振器と同じ天色へと変化しており、レイブレードの特性に合わせた最適な結晶構造になったものと推察される。
プラズマキャノン
機体左右に装備されたプラズマ兵器。特に地上目標に対して大きな威力を発揮し、一方的な対地攻撃が可能となっている。
陸戦型のヘキサギアは機体上部に操縦席を配置したものが多く、たとえ装甲化していても上面はそれほど堅固ではないため、空からの攻撃は非常に効果的な攻撃手段となっている。
プラズマタロン
歩行肢の先端に装備された鉤爪状のブレード。使用時にはプラズマを発生させて対象を溶断する近接用の兵器。ゼニス・リヴェールの装備するものは荷電粒子を含む電離気体の凝集率が高く、使用時には長大な鉤爪状のプラズマ刃体が形成される。
エアモービル
ゼニス・リヴェールの頭部から頸部、操縦席までが分離したビークルで、低空を飛行することが出来る。KARMAをはじめとする機体制御は概ねこちら側に配置されており、形態の変化を受けてゾアテックスは停止し第一世代ヘキサギア相当の小型ビークルとなる。
この分離機能はオリジナル・レイブレードの過剰使用に伴う機体の損傷に備えたガバナー及び主要部位の離脱機構と説明されているが、設計者の真意は別にあるとも言われている。
