SPEC

機体解説

スイフトローバーはボルトレックスをベースに徹底的な軽量化が図られ、異なる運用目的のために組み上げられた機体である。正式に生産されてはいないが、SANATの承認を得ており、戦場での機体改装時に状況次第では提示されることがある。
ボルトレックスは第三世代ヘキサギアの汎用機として機動性、攻撃力、耐久力を高いバランスで備えているが、スイフトローバーはそのバランスを機動性に偏重させた奇襲専用ヘキサギアとなっている。特にその敏捷性はゾアテックス時に発揮され、人体機能を拡張するアーマータイプ着用者であっても搭乗する側、周囲にいる側共に危険とされるレベルに達する。反面安定性が低いため、ビークルモードであるトライク形態への切り替えなどを適宜行わなければならない。もっともそのビークルモードも出力を保ったまま軽量化されているため加速性能に優れる上、急速変形によるトリッキーな動作が可能なのだが。
それだけであれば本機は単に速いだけの機体だが、同時に攻撃力を補う手段として『対ガバナー戦』に特化した武装選択を行っている。
戦場に投入される新世代ヘキサギアの多くは運動性を確保するため閉鎖式の操縦ブロックを持っておらず、ガバナーが露出している。そのため広範囲に広がる爆風や、ヘキサギア同士の衝突でガバナーが転落、負傷し機体状況を問わず継戦不能になる場面があるが、本機は意図的にそれを引き起こして敵機を撃破する。
グレネードランチャーはいわずもがな、高速で運動する四肢の末端に装備された蹂躙爪による刺突は容易にアーマータイプを貫通する。高い敏捷性を駆使し敵ヘキサギアへ取り付く、無防備な陣地へ突入するなどの状況から繰り出されるガバナーへの直接攻撃は、高エネルギーを用いる兵器以上の戦果をもたらし得るものであった。
さらに無防備な状態で本機の蹂躙爪による『踏み荒らし』のターゲットとなったガバナーは、仮に生還しても恐怖心を植え付けられ以前と同じようには戦えないという。この点もまた『対ガバナー戦』の想定の一つであるとされている。

本機を常用するガバナーとして、ヴァリアントフォースの上級ガバナーの証であるイグナイト型のパラポーンである『パラミディーズ』が挙げられる。
彼はヴァリアントフォース参画者の中でも最も素直なタイプである「SANATを信奉する」タイプのガバナーであり、プロジェクト　リ・ジェネシスに殉じ、この計画を広める伝道師となること、計画の進行を守る騎士としての役割を己に任じている。しかし彼の伝道師、騎士という概念はSANATありきのものに大きく歪められており、いささか性急な手段を取ることもしばしばである。しかしその忠誠心だけは認められており、SANATからは自由裁量権を与えられている。
スイフトローバーの組み立てに関しては、同じく単独行動を取ることが多い偵察・破壊工作コマンドのガバナーと協力している。それ以来上位権限者であるパラミディーズはそのガバナーをしばしば自身の出撃に同行させているようだが、相手からはあまり好かれてはいないようだ。
身勝手な狂信者という評価が強いパラミディーズだが、スイフトローバーの戦術モデルを構築したのは彼である。SANATの騎士として確実に勝利しなければならないという動機こそ独特なものであるが、その戦術センス自体は非常に優れている。本機への騎乗中にも取り回しやすいよう改造されたイグナイトの武装も彼自身の手によるものだ。
狂った騎士の愛馬として、今日もスイフトローバーはどこかの戦場を彷徨い、多数の悲鳴を生み出し続けている。

BATTLE POINT

作品応募動機・コメント

みんな大好きラプトル型。乗り手が剥き出しな場合が多いヘキサギアでは、従来の戦闘メカとは違ったコンセプトが生み出せて、本機はそれと機体デザインを合致させることが出来たと思ってます
さらにスイフトローバーでは装甲パーツの配置など「見た目」にもこだわって、ヒロイックなガバナーであるイグナイトとのバランスにも気を使ってみました。
その割りにはひっでぇ設定ですけどね！

オール・イン・ジ・アースがでっかい恐竜型なんで、その足下にチョロチョロついてまわって「なんだあのちっこいのは弱そうだぜ」と油断したガバナーを集団で『踏み荒らし』にかけるとモチーフのイメージ通りでいいんじゃないでしょうか
悪役の所業を考えるのは楽しいなあ