ロックフォーゲル
SPEC
TYPE | 可変型ヘキサギア |
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SIZE | Standard HEXA GEAR class |
WEAPON | ・五点バースト式レールガン 対象を可能な限り損傷を抑えて鹵獲するための特殊ニードル弾の発射を念頭においたカスタムレールガン。銃本体としての性能としてはスナイパーキャノンほどの威力は無いが速射性能が高い。一度のチャージで15回(1回5発)の連射が可能。その後、クールタイムが若干ながら発生する。弾数は5発x60回。今回のミッションでは岩影に無人給弾ポッド(1500発)を設置している。 ・特殊ニードル弾1 貫通せず「突き刺さる」事を考慮して設計されたニードル弾。 突き刺さった後0.5秒後または突き刺さらず弾頭が潰れた場合は即時に即効硬化ジェルが噴出する。このジェルは名前通り即効で硬化し、対象の動きを奪うのだが、12時間後に元通りのジェルに戻る性質を持っている。衝撃を与えると再度硬化する。 普段は無色のジェルであるが硬化すると鮮やかな黄色に変色するためマーキングとしても活用される。 除去方法は実は非常に簡単らしいが企業秘密。 また、ニードル弾自体に火薬を使っていないため爆発することはない。 ・特殊ニードル弾2 特殊ニードル弾1と同様に突き刺さる事に特化したニードル弾。着弾と同時に高圧電流が流れ、5秒後にさらにもう一度電流が流れるシステムとなっている。まず着弾時の高圧電流で動きを封じ、命中した特殊ニードル弾1で硬化した対象を第二波の高圧電流でさらにスタンさせて電子機器を機能停止させる役割を持つ。五点バースト射撃の最初に射出される。 こちらもまた火薬を使っていないため大きく爆発することはない。 ・テイルスティンガー ゾアテックスモード時、格闘に用いられるロックフォーゲルの中でも最大の強度を誇る武装。その強度の高さからヒューマノイドモード時、コックピットカバーとしても機能する。 ・反応式エネルギーシールド ゾアテックスモード時は機体下部、ヒューマノイドモード時は左腕に装備された飛来物に対し反応し展開される標準的な出力のエネルギーシールド。機体特性上、重要な装備となっている。 ・フレアスモーカー ヒューマノイド時、ゾアテックス時・共に側部大型スラスターに懸架されている対ミサイル用・支援用兵装。フレアと煙幕を切り替えながら射出・噴射できる装置。短時間で一面を煙幕で包み込む事ができる。やむなく戦場の空中で可変する際や撤退支援時、ウイングジャマー使用時に使用されるパターンが多い。 ・ENマシンガン 機体側部の大型スラスターに懸架された大容量バッテリータイプの一般的なENマシンガン。威嚇射撃やレールガンのチャージ中の自衛用に用いられる。 ・EN機銃 ヒューマノイド時・右腕、ゾアテックス時・頭部に搭載された近距離・ドッグファイト用兵装。装備部位内部に組み込まれたヘキサグラムからエネルギーが供給されている。連射力が高い反面、威力はあまり高くない。主に牽制と威嚇、飛来物の迎撃射撃に用いられる。 ・エアマニューバスラスター ブロックバスターのものと同様だが、出力が調整されている。 ・各スラスター 瞬発力を重視した調整がされている。機体本体のヘキサグラム装填孔へ直接接続されているため本体からエネルギーを供給して稼働している。KARMAの判断で燃費を抑えた巡航噴射(初期噴射出力の85%程度)へ切り替える事がある。自動回復するとはいえエネルギー消費は多め。 ・ウイングジャマー 本機『ロックフォーゲル』の代名詞ともなる装備。専用プロテクトされていない電子照準システムのロックオンを瞬間的に本機に集めた後、即強制的にロック解除するパルス信号を発する事ができる厄介な兵器。ロックオン機能を使用しない射撃には効果がない反面、ロックオンを必要とする兵装には効果的である。効果範囲は最大半径350メートルだが効果保証範囲は半径120メートルとなっており、フレアスモーカーとの同時使用を想定されて設計されている。KARMAへの負担、エネルギー消費量、必要以上に狙われるリスクが大きいため連続使用はできない。 ・グラップルクロー&クラッシャー ヒューマノイド時・左右腕、腰部、ゾアテックス時・頭部、下部に装備されている。主にゾアテックス時の格闘に用いられる。 |
PARTS | ※個数省略 ヘキサギア&ガバナー:ボルトレックス、モーターパニッシャー、バルクアームα、ハイドストーム、ブロックバスター、ブースターパック001、パラポーン・イグナイト フレームアームズ:ジィダオ MSG:連装砲、メガスラッシュエッジ、セントリーガン、フレキシブルアームA、B、ジョイントセットA、B、C、プロペラントタンク・丸、エクスアーマーA、B、ディティールカバーA、キラービーク、ソリッドラプター、オーバードマニュピレーター、グレイヴアームズ、マルチキャリバー、エネルギーシールド、ベルトリンク、ワイルドハンド、スパイラルクラッシャー、フリースタイルガン、カスタマイズヘッド ガバナー頭部、肩部:形状変更・ポリパテ使用 フライングベース:ハイドストーム付属品、ニューフライングベース その他:ハイキューパーツ・超小型LED青、超小型電池ケース 一部背景:箱庭技研ジオラマシートNEO森林・砂漠セット(砂漠使用) |
機体解説
溶鉱炉『ヘパイストス』を含む旧世代の廃棄された工場施設、通称『塵山』を拠点とするヘテロドックス『ヴォルカヌス』と、塵山へ匿われた難民達の有志から結成された自警団『ケルベロス』が共同所有するワンオフモデルのヘキサギア。
可変機構を取り入れており、図鑑で目にする『蜂』によく似た形態のゾアテックスモードとヒューマノイドモードの二種類の形態を持つ。
ゾアテックスモードでは多数のスラスターを駆使し速度を活かした荒々しい格闘戦を得意としており、空中で獲物へと組み付き、本機最大の硬度を誇るテイルスティンガーを突き刺し勝負を決める一撃必殺の戦法を得意とする。この形態でも五点バースト式レールガンの使用は可能であるが主に高速飛行戦闘であることと射角の確保がシビアであるため好んでの使用はされない。
また、時代遅れともとれるヒューマノイドモードへ可変できるのだが、これは本機のガバナー『ヘンリー・ライルハート』の意向と製造者『ロディ・マクドナルド』の趣味によるものが大きい。しかしながら旧世代型ともいえる人型へわざわざ可変するのは『より人間に近い挙動』を得るためでもある。本機には製造者の個人的な繋がりから入手した比較的新しいモデルのBMIが搭載されており、それが可能となっている。
本機のガバナーは天性のスナイパーであり、精密な射撃には何よりも感覚が大切であると話す。そのため本機ではより人間の挙動へ近づけ、感覚を寄せることができるようにBMIの搭載とヒューマノイドモードへの可変を取り入れている。総合的な戦闘力はゾアテックスモードには及ばないもののガバナーの実力が発揮でき正確無比な射撃を行えるため本機に関してはわざわざ時代遅れのヒューマノイドモードを取り入れた価値があると言える。
狙撃時にはヒューマノイド形態では左腕に接続されたグラップルクローがバイポッドとしての役割を果たす事もできる。さらに人型時脚部をランディングギアに可変させること(申し訳程度ではなく完全に大型ランディングギアに可変)ができるため主にゾアテックス時に活用される飛行用ブースターと組み合わせることで地上でもある程度の走破性能(よほどの悪路でなければ走破可能)と機動力を獲得している。
もちろん人型形態でもある程度の高速飛行はできるのだがゾアテックスモード時ほどの機動に関する恩恵は受けられない。あくまで射撃位置確保用と可変する時間がない時の緊急離脱用としての飛行と割りきる必要がある。
当然の事ながら可変に『着地状態や空中で極めて低速または停止した状態で2秒弱』ほどの時間を要する事、可変を取り入れたために複雑になったフレーム構造から発生する耐久性の低下などのデメリットも多数抱えている。
そのため、基本のフレームとして活用したボルトレックスのフレームは修理のための必需品であり『ヴォルカヌス』と『ケルベロス』の運営資金や資材確保を兼ねて小規模のヴァリアントフォースの部隊を襲撃する機会が多い。
しかしながらせっかくの貴重な部品を破壊しては意味がない。そこで着弾後に特殊な硬化ジェルを噴射するニードル弾を使用し、可能な限り損傷を抑え鹵獲している。また敵ガバナー(生身と判明した場合)に関してはこちらも可能な限り『捕縛し不殺、退散時に救難信号を発信』の方針を徹底している。
戦闘には必ず製造者でもある戦うメカニック、ロディ・マクドナルドが同行し、鹵獲した機体のAIの無力化とGPSや機体に搭載された救難装置を取り外し、塵山の位置を特定されないよう心がけている。
本機体名は『囮』を意味するとのこと。羽のようにも見える背部バインダーは妨害装置に詳しい『ヴォルカヌス』メンバー、キュリオス・タナスが仲間の撤退支援をするために完成させた試作型のワンオフ兵器である。半径最大350メートル以内(効果保証範囲半径120メートル)の『専用にプロテクトされた電子照準システム』以外の電子照準システムによるロックオンを強制的に本機に集めるパルス信号と本機に対するロックオンを強制的に解除するパルス信号を発信するロックオンジャマー装置である。もちろんの事だが本機に近ければ近いほどより確実に強制的にロックオン&ロックオン解除される。本機にロックオンを集める意味があるのか?という疑問が出るが、これに関しては
「誰だってロックオンした方に一瞬視線が向くだろ?戦闘中であれば尚更な。生身の人間ならロック対象が移った事に反応するまでに平均0.3秒。さらに目視から行動までにさらに平均0.3秒かかるんだ。そこから機体の反応速度があるからな。さらに時間が稼げる。そしたらその分、周りが逃げやすいじゃねぇか。ゾアテックス?人間がサポートする以上、そこにだって付け入る隙はある。相手がパラポーンであったとしても狙ってたヤツへのロックが外れるんだ。一瞬でも隙は生まれるさ。…そもそもロックオンしない場合?そりゃぁもちろんそれには効果ないわな。あくまで撤退補助用だからな。基本的には逃げる側にも運と技術は必要さ。まぁ、ヘンリー達が狙われる分には問題ないな。狙撃と逃げ回るのはあいつらの十八番だろ?」
というのが開発者の談である。
さらに使用する第一条件としてフレアスモーカーに適度な弾数が残っている状態という条件がある。さらにはKARMAへかかる負担と消費エネルギーの多さ、本機が必要以上に狙われるリスクが大きく最大でも3秒以上の連続使用はできない。フレアスモーカーの弾数が無くても発動自体は可能であるが、あくまで『重要なものから一瞬注意を反らす』ための戦術的荒業であるためよほどでなければ条件外での発動は行わない。ロール的にはジャマーに分類されるであろう機体アセンブリとなっている。
搭載KARMAの名称は『ヴェスパ』
元々はヘンリー・ライルハートが過去所属していた懲罰部隊が任務中に撃破したモーターパニッシャーLA仕様に搭載されていたKARMA。回収後初期化され、元々の機体の使える部品と有り合わせの装備で現地改修を施したカスタムヘキサギア『ハニビー』へ搭載され、以後ガバナー(ヘンリー・ライルハート)と共に幾度となく死地を潜り抜けてきた歴戦の猛者と呼べるKARMAである。『ハニビー』への搭載後、二度同じ敵と会敵し、二回とも敗北している。
今回の搭載機『ロックフォーゲル』では『過去最高の乗り心地です。』と話している。
搭乗ガバナー『ヘンリー・ライルハート』
24歳、元VF兵士。一見チャラそうに見えるが全くそのようなことはなく、爽やかな好青年である。ヘンリーという一般的な名前が非常に気に入っている。殺生は好まない性格であり、無力化はするが基本的に命はとらない。18歳の頃から従軍しており、その射撃センスの高さから歩兵部隊所属であったがスナイパーとして特殊部隊にスカウトされる事となる。しかしながら狙撃による『暗殺』任務を何度も拒否したことから懲罰部隊へ送られた。この時、ロディ・マクドナルド(36)と知り合う。
そして彼がVF軍を離れる事となった出来事が『LAへ軍事情報を漏洩させた』という根も葉もない告発により拘束され裏付けもないまま処刑が決定した恋人、シンシア・ストックマン(20)を救出するため部隊で使用していたカスタムヘキサギア『ハニビー』を無断使用し彼女の脱獄を計った事である。脱獄は成功し彼らはそのまま脱獄犯と脱走兵として追われる身となった。
後にこの告発はヘンリーに思いを寄せていた別の女性による彼女を妬んでのデマの告発であると判明。さらには処刑を決定した収容監獄の責任者はその女性の親族であった。
この脱獄作戦には同じ懲罰部隊であったロディをはじめとする数名の部隊員が加担し、こちらもまたヘンリーと同じタイミングで軍から離脱、お尋ね者となっている。
彼らは後に『ヴォルカヌス』を結成し、廃墟であった塵山を改修し発展させていく事となる。
この脱獄作戦のメンバーには元VF軍退役軍人で彼女の父、入隊したばかりの頃のヘンリーとロディを指導し元部隊長でもあったジェイモン・ストックマン(47)が参加していたのだが囮となりVF警備部隊及び別任務にて付近に展開していたLA特殊部隊と交戦、三つ巴となった戦いの末、行方不明となっている。ヘンリー、シンシア、そして『ヴォルカヌス』はジェイモンは必ず生きていると信じ待ち続けている。
さらにこの脱獄事件は内々に処理されたのか表立って公表されることはなかった。
…ミッション開始数日前
エクスパンダーを模してデザインされたカスタムアーマータイプを着こんだ大柄な男がヘルメットを脱ぎ、そのスキンヘッドを撫でながら本日の収穫物を前にしゃがみこんでいる。
「今日の収穫はレックスとモーパニ1機づつだな。大漁大漁。おーし、ヘンリー、ヴェスパ、引きあげるぞー。運搬はケルベロスの連中に任せよう。撤収撤収。」
その後ろには軽量にカスタムされたアーマータイプを着こんだ金髪でアシンメトリーの髪型、眼鏡をかけた若々しい青年が5メートルほどの人型の相棒の横に立ち、高硬度ワイヤーで縛り上げたアーマータイプ・センチネルを見張っている。
「了解だ。…ヴェスパ、今日もありがとう。さっきは助かったよ。」
『どういたしまして。人間は後ろに目がありませんからね。』
「ははは、確かに。」
『しかし、たまには私にも暴れる機会を与えてくれてもいいのでは?』
そのやり取りに先の大男が割り込む。
「んっんー?ヴェスパ。それはダメだ。おまえはやり過ぎる。一昨日ロールアウトしたばかりだぞ?その体は。それを当日に壊しやがって。」
「ははは、クローは折ったし獲物はスクラップにしちゃったしね。」
『それはあのセンチネルとモーターパニッシャーが暴れるから悪いんです。大人しく投降していればクローを折るほど殴り付ける事も、せっかくの獲物をバラバラにする事もなかったんです。それにセンチネルもちゃんと投降したじゃないですか。』
「まぁ、目の前であんな解体ショー見せられたらまともな人間だったら命乞いするわなぁ…獲物はほぼゴミになったしな…」
「性格変わっちゃうからねぇ…」
『そうですか?私にはそんな自覚はありませんよ?』
「「…逆にあったら怖ぇよ…」」
タタタタタン!
突如として縛り上げたセンチネルの真横に五点バーストのニードル弾が撃ち込まれる。
『動くな。次は当てる。』
ヒィィと恐怖の声を発しセンチネルは身を屈めた。
『ちゃんと見てないとダメですよ。縛り上げても這うことはできるんですから。』
「…ヴェスパ…僕も見てたけどさすがに背伸びしただけで撃つのは可愛そうだよ…」
ヘンリーは切ない顔をしながらヴェスパを見上げたが当然ながらヴェスパの顔に表情はない。
『…無駄弾を撃ちました。叱られるのでランダさんには黙っていてください。』
「ははは…それをチクったら僕も一緒に怒られるからやめておくよ。」
ヘンリーは苦笑いすると地面に突き刺さったニードル弾を見つめながら切ない顔をしているロディを見上げた後、到着した『ケルベロス』の大将に叫ぶ。
「ロメロさーん!僕達は先に戻るよー!獲物の回収お願いしまーす!」
その声に反応して『ケルベロス』名誉総大将ロメロ・ボロッサが片手をあげたがそのままバランスを崩し回収中のボルトレックスから滑り落ちた。
「んー…ヘンリー。先に帰りな。やっぱり俺ぁもうちょい残るわ。なんかロメロじいさんから危険を感じる…」
「…うん。僕もそんな予感がしてきた…やっぱり残ろうか?」
「いや、大丈夫だ。おまえさんは早いとこシンシアのとこに帰ってやりな、色男。」
「ありがとう。そうするよ。ヘパイストスには火をいれておくかい?」
「おう。頼んだ。」
「わかった。じゃあヴェスパ、帰ろうか。」
『了解しましたヘンリー。ではゾアテックスモードへ可変します…』
ほんの数秒…戦闘時でなければ気にもならない時間を要し人型であった相棒は図鑑で見たことがある昆虫、蜂のような姿へと姿を変える。
『システムコンバート完了。システムオールグリーン。…っしゃぁ!オラ、さっさと帰るぞ!』
「「本当に性格変わるよなぁ…」」
ヘンリーとヴェスパが飛び去るのとほぼ同時。捕らえたボルトレックスのプラズマキャノンをロメロが暴発させ、収穫物のフロントアーマーを吹き飛ばしたのは言うまでもない。
…ミッション開始十数時間前
溶鉱炉『ヘパイストス』前管理室
ロディが無線機を片手にいつものように机にだらしなく足を投げ出しどこかと連絡をとっている。
「よぉ、あんたが指揮官殿かい?こちらはヴォルカヌス。ロディ・マクドナルドだ。困ってるんだってな?あ?何で知ってるか?あんたらが泣きついてるトコとはうちも取引してんだよ。情報くらい入ってくるぁな。で、早速だが取引といこうか。「格安」で助けてやってもいいぜ?そうさな、うちのもんが潰した機体はうちでもらう。それだけだ。どうだ?……よし、交渉成立だ。今回はあんたらと同じシグナルを出させてもらう。間違って後ろから撃たれたくないんでな。戦闘員としてヘンリー・ライルハートがそちらへ向かう。そう、それとあんたらのお仲間の照準システムに「DOSKOI」ってプロテクトワードかけておきな。あ?いいからそれだけは忘れんなよ?…ワードの意味?俺の趣味だ。まぁ、悪いようにはしない。じゃあな。」
無線を切るとロディは一気に飛び上がる。
「さてと、今回用にプロテクトワード変えないとな…」
…ミッション開始数時間前
「いいか?可能な限りボルトレックスを狙えよ?スペアにもなるし金にもなる。」
「あぁ、わかってる。でも狙撃機と索敵機がいたら優勢的にそっちを狙うからね?厄介だから。」
「まぁ、現場の最終的な判断はおまえにまかせらぁ。俺も奴等の本部に顔出した後で後方で待機する。念のためにスペアパーツもってくからよ、簡単な修理ならできるぞ。」
『そもそも避けますから大丈夫ですよ!』
「…ばかやろう。次の戦場は歴戦の猛者達が集まる場所になるハズだ。いつも狙ってる雑魚とはワケが違う。『アイツ』クラスのがいると思ってもいいかもしれん。」
『…そうですか。気を引き締めなければいけませんね。』
「さてと…それじゃぁ、そろそろ出ようか。ヴェスパ、システムコンバート。」
ロックフォーゲルの人型は崩れ、獰猛な狩蜂へと変貌を遂げる。
『システムコンバート完了。システムオールグリーン。…よし、いこうぜ。』
…ミッション開始二十数分前
「こちらヴォルカヌス。ロックフォーゲルとヘンリー・ライルハートだ。指揮官、接触を求める。」
鉱山都市の上空を旋回しながらヘンリーは今回のクライアントとの無線接触を試みつつ、味方となる部隊の配置を確認していた。
「…こちら、リバティーアライアンス。指揮官殿は現在手が放せない。副官である私が対応させていただく。よく来てくれた。すまないが戦闘が始まり次第そのまま参加してもらえるか?」
「了解した。戦闘開始はそちらに合わせる。それと…プロテクトワードは忘れてないな?」
「…問題ない。」
「ありがとう。こちらが潰した機体は約束通り回収させてもらう。黄色のマーカーだ。手を出さないでほしい。」
「…話はきいている。勝手にやってくれ。武運を祈る。」
通信を終えるとヘンリーは先ほどから当たりをつけていた渓谷上の岩影へと機体を移動させグラップルクローで掴んでいた給弾装置を設置しつつ機体を着陸させる。
「このあたりかな…ヴェスパ、最初は撃つよ。」
『まぁ、定石だな。それと…だ。俺は暴れられるんだろうな?』
「たぶんその可能性が高いと思うよ。この地形だ。相手も航空戦力の投入は確実だろうから寄られる可能性が高い。それに狙撃機も出てきてるはずだ。下手に射撃戦をするよりもこちらから奇襲した方がいい可能性も高い。」
『ほほぅ…久々に腕がなるぜ!』
「ほどほどにしてくれよ?やり過ぎるとロディがうるさいからね。あと、気は抜かないこと。」
『あー、はいはい。とりあえず気は抜かねぇよ。俺だってスクラップにゃなりたくねぇからな。』
「そうだね。じゃあそろそろスタンバイしようか。」
数秒の時間をかけ、機械の蜂は機械の人へと姿を変える。
『システムコンバート完了。システムオールグリーン。…では、戦闘開始までゆっくり待機しましょうか。しりとりでもしますか?』
「ふふ…やめておくよ。」
ヴェスパの口調の変わりぶりに慣れてはいるがヘンリーは苦笑した。
『そうですか。では私は少し他の方の相棒を観察させてもらいます。どのようなアセンブリなのか気になります。』
キュイイと望遠レンズを動かす音が微かに聴こえた。
「ヴェスパ、観察のついででいいから風速と風向きのチェックも頼むよ。」
『了解しました。計測しておきます。ところでヘンリー。あの警護対象ですが守りきれますかね。』
「さぁね…まぁ、僕らは無理がない程度に動こう。ロディが本部に接触してる間くらいはアレを使ってでも守るけど。」
『いつでも使えるようにはスタンバイしておきます。ゾアテックスモードでの使用を推奨します。』
「そうだね。」
まもなく戦いが始まる。ヘンリーは大きく深呼吸をすると目を閉じ意識を集中させた。
BATTLE POINT
作品応募動機・コメント
今回こそは!という思いから投稿させていただきました。
ぜひぜひ、小説内で暴れてくれたらと思います。
GOVERNOR DATA
- NAME山羊山羊山
- SNS @Nyanko_toraemon
- UPDATE2019/02/19