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OVERVIEW ヘキサギア概要

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ヘキサギア概要

工業規格ヘキサギア

「ヘキサギア」とは本来宇宙用として開発された多用途重機に端を発する共通工業規格である。新世代の動力原である“ヘキサグラム”の使用を前提に規定されたこの工業規格は基礎フレーム単位からの高い換装自由度を持ち、豊富な拡張ユニットとの連携によってあらゆる環境に適応する。また、限られた空間内に持ち込める資材はわずかであるため開発初期から少ない資材による構築でも幅広い活動に応用できるよう企図されている。
来たるべき恒星間航行を想定して要求された仕様「永続的使用に耐える小型動力源を持った作業機械」及び、「共通化されたプラットフォームの換装機能と各種装備品によるあらゆる状況への対応」に対する回答こそが“ヘキサグラム”だったのである。

随所に特徴的な六角形状の装填孔を持つ基礎フレームは、そこにヘキサグラムを装填する事により動力を獲得し、また、ヘキサグラムを介する事で相互に連動、拡張してゆく。
これらの組み合わせを変えることで様々な機能を -必要であれば戦闘能力すら- 獲得することができる。
換装作業自体は規格化の恩恵により非常に短時間で実施することが可能であり、前線の野戦整備場はおろか、移動中のトランスポーター上でさえ行うことができる。このため、各地で転戦を続けながら補修整備を兼ねて次々に装備を換装していく事例も多く、戦場においてはあたかも生物が環境に適応し進化したかのような多様性を見る事が出来る。

「ヘキサギア」は、燃料資源の枯渇により次々と停止していく旧来の機械と入れ替わるように現れ、やがて地上で最も普及した動力付大型機械となった。

しかし、人類の夢を運ぶ為に開発されたという出自を持ちながら皮肉にも現在では殆どの場合において「戦闘用ヘキサギア」を指す言葉となっている。

第三世代型ヘキサギア[ZOATEX]

戦争の道具へと成り変わったヘキサギアの現在の主流が第三世代型、通称「ゾアテックスヘキサギア」である。これは初期の戦闘用ヘキサギアと言える第二世代型を経て、KARMA型AIの誕生によるソフトウェアの進化と搭乗するガバナーを防護するアーマータイプというハードウェアの強化によって実現した兵器大系である。

“人機一体”をコンセプトとし、操縦者であるガバナーと戦闘兵器であるヘキサギアに求める機能を分担するゾアテックスヘキサギアは、第二世代型ヘキサギアに比べ軽装甲・高機動力の機体が多く、ガバナーをヘキサギアの装甲で護るということは殆ど想定されていない。これは戦闘時にゾアテックスの利点である機動力を最大限発揮するためであり、失った装甲はガバナー自身の纏うアーマータイプの機能向上によって補われる。
全ては“互いに適した活動内容で連携を強化し、戦場を生き残る”為の苦肉の策である。

最大の特徴であるゾアテックスモードは、獣性の付与によってこれまでにない三次元的活動範囲、高い反応速度、獣のような破壊衝動を実現し、戦場に乱数を投入することに繋がった。
パラポーンやヘキサギアをはじめとする高い演算処理をおこなう能力を持つマシン同士を争わせた場合、機体の性能差や部隊の規模がそのまま結果に繋がってしまうが、ガバナーと共に成長し機体ごとにユニークさを持つことで戦況は必ずしも一方的な結果で終わることはなくなった。

また、あらゆる戦場を縦横無尽に駆け抜け目標の早期殲滅を達する事をコンセプトに開発されたゾアテックスヘキサギアは、目的に合わせ“効率よく任務を達成する”為に変形機能を有する場合もあり、中には2種類のゾアテックスモードを用途に応じて使い分ける機体も存在する。
一例としてアースクライン・バイオメカニクスの強襲用高速戦闘ヘキサギアを挙げると“走行形態/ビークルモード”と “格闘形態/ゾアテックスモード”の主な使い分けは戦闘地域の地形によることが多く、平坦な地形では最高到達速度の高い走行形態からの射撃を主体に、市街地など建造物の多い戦場や地面の起伏が激しい地形では三次元的な運動性能が格段に上がる格闘形態による戦闘を行う。
総じて高火力化された火器類は被弾することが即、機動力低下や場合によっては大破につながる為、戦闘中であっても殲滅する目標に応じて適宜、使用モードをコンバートすることは言うまでもない。

マシンの内に目覚める獣性

ゾアテックス[ZOANTHROPY TECHNOLOGY]

SANATからの干渉を受けずにヘキサギアを制御できる唯一のAI=[KARMA]の実装によって実現した技術体系であり、主としてAIに個体認識機能を備え、自己が何某かの獣であると錯覚させることで制御する機体に獣性を付与する事を指す。

ゾアテックスを発動したヘキサギアはそれぞれの獣性に基づいた、より高度で複雑な機体制御を行う。非機械的な瞬発力やしなやかさ、柔軟性を持った挙動、そして何よりその闘争本能は、戦場においてより優位となりうる付加価値を生み出し、戦争初期において兵士たちに勝利を予感させる希望となった。

ヘキサギア同士の戦闘において、ゾアテックスによる獣性の付与やその特性がどのように作用するかを説明する。

まず、AI搭載型の無人兵器同士の戦闘を想像してほしい。
通常のAIによる思考演算では、各種センサーで感知され数値化された彼我の情報の比較検討が発生し、行動決定の大きな要因となる。この場合、極端に不利な状況と判断すれば当然の帰結として攻撃自体を無意味とする結論が採択され、消極的な防衛行動を連続した結果、大きな抵抗も無いままより強力な兵器が勝利するだろう。これが、「もっとも生存確率の高い未来」を選択したという事実は否定しない。しかしそのAIは、同条件にいる限り永遠に勝利を得る事は叶わない。

では、ゾアテックスを発動させた[KARMA]はどうか。
その獣性は数値的不利など歯牙にもかけない。闘争本能のままに、目の前の目標を殲滅するべく、襲いかかるのである。これは機械であるAIに対して合理的な思考を強制的に停止させ、怒りに任せて戦うよう仕向けるという一見矛盾した行為である。
しかしこれもまた厳然たる事実としてゾアテックス出現以降のヘキサギアの戦闘は単なるスペック差だけで決定付けられるものではなくなったのである。

ゾアテックスがもたらす獣性によって、ヘキサギアがこれまで以上に扱いの難しい兵器になったという事実は否定できない。

しかし、強大なMSGVFに立ち向かうという苦難の道を選択をしたリバティー・アライアンスのガバナー達にとっては、その獣性を得た事によって初めてヘキサギアは不利な状況でも勝利に向かって走り続ける相棒となり、そして単なる戦闘機械と操縦者という枠を超えた互いの半身とも言える存在となっていったのである。

キメラアダプト

戦場におけるガバナーとヘキサギアは 、補修整備を行いながら次々に機体や装備を換装し連続する戦闘に対応をせざるをえない事が常である。

戦況に合わせて必要とされる機能を取り入れるべく、戦場に残された“敗者”たちのパーツは多くが“勝者”に持ち去られる。パーツの増設によって歪に拡張されていく機体はかつての“神話”に登場する幻獣や神獣を思わせる外観に近づいていくこともあった。その歪な姿に類似する獣性はこの世界に実在しなくとも、部位ごとの特長と機体構成から最適な獣性は生成できる。しかし幻獣に酷似した機体の獣性とは、異なる特長を幾重にも重ねた複雑なものとなり、特異な獣性を持つこれらのキメラは殆どの場合メーカー純正の機体に比べて非常に制御が困難という特徴を持つ。機体構成を行うガバナーの技術、知識、センスが如実に現れるこういった複雑なアセンブルは時として標準機が本来持っているスペックを下回ることにもなりかねなかった。「キメラアダプト」とはこういった複雑な構成にも関わらず操作性、戦闘能力などの面で安定した獣性の発現したアセンブルのことを指す技術用語であり、これを実現するにはガバナーとしての熟練が必要となる。