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WORLD ヘキサギアの世界

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EX EPISODE MISSION02
[魔獣追討]
Chapter: 12 深憂

「——こちらフリット。ショウは無事保護した。早くそちらと合流したい」

リンクスは揺れる大型トランスポーターのキャビンで、フリットからの連絡を受けた。
傷んだ舗装の道路。
窓の外の暗闇を切り立った岩壁とまばらな木立が流れていく。

「こちらリンクス。本隊は補給と休息を終え、2時間前に進発したぞ。じきに第4ゲートブリッジに進入する」
「ああ、手間取って済まない。そちらの動きは聞いているよ」

2人のやり取りにアナデンの自警団メンバーが割って入った。

「失礼、私はアナデンの連絡役だ。我々はあなたがたが無事にこの地を離脱するまで見届けるよう命じられている。ショウ氏は一旦こちらで保護することとし、まずはフリット氏の本隊合流をできるだけ支援するつもりだ」
「リンクス、聞いた通りだ。第4ゲートブリッジで合流したい」
「こっちは橋路に上がった後は更に速度を上げるだろう。そこから追いつけるのか?」

フリットに代わって、連絡役を名乗る人物が説明する。

「こちらはロード・インパルスを吊り下げ輸送可能な飛行型ヘキサギアを手配しており、橋路上で降下合流できる見通しだ。それよりこの一帯に展開したヴァリアントフォースがどのような行動に出るか、目下のところ不明となっている」
「であれば、フリットもここで無理に合流させるより別ルートで脱出させた方が望ましいと考えますが」
「リンクス、聞いてくれ。最悪の場合、アナデンはレイブレードの使用も認めると──」
「……本隊から離れた小部隊が他にもいるようだが、そちらは大丈夫か? 当方の管理下にある廃棄隧道に侵入者があり…‥、それはまあいいんだが、先ほどから戦闘らしき振動と爆発音が検知されていてな」

それを聞いて、リンクスははっとした。
アナデン連絡役の言う通り、ウェイナー副隊長の率いる戦闘斥候部隊が本隊と分かれ、別の脱出ルートを探るべく偵察に出ていた。アナデンには敢えて通知していない動きのはずだった。それがしばらく前、封鎖された大規模隧道発見の報を最後に連絡が途絶えている。
彼らの身に何かが起きたのは間違いなかった。

「……問題ありません。了解しました、こちらはこのまま第4ゲートブリッジに向かいます」

リンクスはなるべく感情を押し殺した声で了承すると、フリットの応答も待たず通信を切った。
脱出ルートとしての第4ゲートブリッジの安全性を疑問視する声は、かねてより上がっていた。
旧い時代に造られたこの巨大な陸上橋路は400kmにも渡って幾つもの峡谷や起伏の上を飛び越え、この複雑な地形での迅速な移動を可能としている。
その構造上、橋路を通行中の車両は遠方からもその車体を無防備に暴露することとなり、従ってこのルートを選択する利点はあくまでも移動速度となる。
それもヴァリアントフォースに捕捉される前に通過し離脱することが条件であった。

しかし渓谷の整備ドックを出て以降、数度にわたる接敵と交戦の事実は、既に敵部隊が広く展開しつつある状況を示していた。
そしてアナデンは、こちらの動向を思った以上に詳細に把握しているようだった。ウェイナー達が何者かに襲撃されたとして、彼らがそれを示唆するような言葉を口にする意味は?
だとしたら、本当はヴァリアントフォースがどこで待ち構えているのかも、彼らはおおよそ知っているのだろう。
先頭を行く大型トランスポーターでは、隊長やマーフィーたちが地図を囲んで今も議論している事だろう。リンクスは通信機をそちらに繋ぎつつ、残存する護衛戦力を頭の中で数え始めていた。

不確定な要素を含みつつも、最速でこの場を離れるにはやはり当初の予定通り、第4ゲートブリッジに進まざるをえない。

──激しい戦闘は避けられそうもなかった。

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