SPEC

機体解説

　リバティー・アライアンス(LA)所属の少女ガバナー・久世郁瀬(くぜ いくせ)の乗機。
「ソミ村虐殺事件」直後の、一部改修を施した形態である。
　先の件にて「結果的にLAの虎の子=ウインドフォールの簒奪を阻止した」郁瀬は評価を向上、LAの個人ガバナーとしては破格ともいえる待遇を得た(報奨増額、稀少部材の供与・貸与優先順位の大幅昇格等)。
　代償に「LA上層部が公な大規模動員を憚りたい事案の“極力穏便な解決”にあたる特務派遣員」=有能な“お遣い役”的な任務に就く機が増え、頻繁に単独でVFや他勢力の“同業者的要員ら”と鉢合わせ、そしてその多くと奇妙な交友・人脈を築いていくこととなる。

　私は“弱い”。
　歴史の陰で継がれた特異な武術の心得もない。
　不幸な過去に伴う特異体質・超常的能力もない。
　特殊な義肢・人工器官もない。
　前線の兵員として最低限のことができる、タダの「温室育ちの17歳のお嬢様」。
　あまりに弱い。
　産まれたこと自体、呪わしく思える。

　“想像力”

　唯一秀でるものがあるとしたら、それだけ。
　今も敬愛してやまない究吾くん――行方知れずの義兄譲りの、それだけ。
　それでどこまで戦える？
　いつまで渡り合い、生き延びられる？

「LAもVFもキにイらないからミナゴロシ」
「ダレでも､ナンでもいい｡たたコロしたい、コワしたい」

　誰かがこの世に放り込んだ、ムテキの被造物たち。
　まだ出くわしてはいない。しかしウワサの絶えない、憧れる者も後を絶たない、誰かの望みの権化たち。
　アーマータイプとKARMA:ヴェルデなしに戦えない、あまりにひ弱い、私に勝ち目がどこにある？
　まして一見“フツーのヒト”を装うそれらも多いという｡
　今､眼の前の相手がいつ“本性を現すか”? 疑心暗鬼から何人､タダの人間を骸に変えてきたか｡
　同じじゃないの､これじゃ｡
　誰を怨むでもなく､生きづらいこの世で慎ましく生きている人たちが「ビデオゲームのハイスコアキャラ」にでも見えてるらしい､誰かと｡

……それでも闘い生き抜く理由､今の私にあるとすれば､

　同じ想いに苦しむ別の誰かを､一人でも減らしたい｡
　手を伸ばせば届く､間近の誰かには手を延べたい｡
　限られた力と命しか持たないこの身､その力と､

――命の､限り｡

BATTLE POINT

作品応募動機／作品に対するコメント

　かつて自宅共々焼けた過去作のうち、自分専用機としたロード・インパルスを再建しました。
　ヘキサギア5周年祭にギリギリ間に合わせたそれを再加工、前回撮り損ねたビークルモードも加えての再投入です。