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WORLD ヘキサギアの世界

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EX EPISODE MISSION02
[魔獣追討]
Chapter: 03 戦士の覚悟

ガバナーを乗せた白いロード・インパルス“アルバ”がトランスポーターの前に立つ。標準的なアーマータイプ:ポーンA1が発する電子標識を確認した扉がゆっくりと開いていった。静かに歩を進めるロード・インパルスは、ICSを装備したフリット・バーグマンの機体である。

「アルバトロス。この場で待て」

フリットは愛機のKARMAに口頭で指示を与えると、自分を呼び出した人物の元へと向かった。
冷めたコーヒーを啜りながらよく来てくれたと出迎えたのは、アースクライン・バイオメカニクスの専属エンジニアでありフリットの同期でもあるマーフィーだった。
彼は前置きも無く話を切り出す。

「グライフには見ての通りシューペリアウェポン、いわゆる規格外兵器のひとつ、レイブレードが搭載されている。そこまではいいね?」

マーフィーは続ける。

「前回の出撃、そして今回改めて大きな整備を行った結果分かったことだが、この機体には……未解明な部分が予想以上に多い。キメラアダプトの影響か分からないが、碑晶質の紋様が変化したことに気付いているかい?」
「どういうことだ?」

一瞬言葉に詰まって考え込むフリットはある人物の名前が浮かんだ。

「ハインラインか」
「さすがフリット、その通りだよ。グライフはアースクラインが作ったものじゃない。あの機体はブラックボックスだらけなんだ」

Dr.レナード・ハインライン
アースクライン・バイオメカニクスの創設者でありKARMAとゾアテックスを生み出した人物。レイブレードをはじめとした現在では再現不可能な技術を生み出したのもすべて彼だ。ヴァージニアと呼ばれる若い女性研究者にアースクラインを託して失踪。その後の行方を知る者はいない。

「KARMAによる機体走査はもちろん可能だ。しかしレイブレードと関わる機能については私たちにほとんど開示されない。さすがは規格外兵器といったところかな……レイブレードに関連する情報は、意図的に隠されているような気がするよ」

リバティー・アライアンスの守護獣と喧伝され、実戦に、それもオールイン・ジ・アースの討伐にまで駆り出されたものが何なのか、所有者であるアースクラインですら確たる答えを持てずにいるのだ。

「他にも不明な機構が多すぎる。実際に動き出したときにそれらがどういった役割を果たすのか……獣性の発現も他とはまったくレベルが違った。前回は数分で停止したものの、あのまま動き続けていたらフレームの蓄積疲労もこんなものでは済まなかっただろう」
「お前がこのところずっとそいつに付きっきりなのは、そのせいか」
「そうだ……だが、今回の任務、ヴァリアントフォースの動きが予想外に早い。第4ゲートブリッジを出る前に戦闘になるだろう」
「なんだと?」
「ウェイナーの部隊が先ほど進発した。私たちの出発も繰り上げられる」

フリットは無言のまま、マーフィーに話の先を促す。

「……私たちは手持ちのカードをすべて使い切る必要がある」
「俺はグライフに乗るつもりはない」
「もちろん君は大事な友人の一人だよ……無理強いするつもりはない……」
「俺がグライフを守る。それがここでの俺の任務だ」

マーフィーは少し考え込み、モニターに向かってコーヒーを一口含んだ。

「……そうか」

フリットは佇むグライフを見上げながら。

「すまない」

そう一言だけ言い残して、愛機の元へと戻っていった。

 

 

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