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WORLD ヘキサギアの世界

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EX EPISODE MISSION02
[魔獣追討]
Chapter: 22 陽炎

髑髏の面頬を掲げた、およそ人間が扱うには巨大すぎるボディが砂塵を巻き上げパッチマンとすれ違う。
視界に捉えたのは一瞬だった。しかし彼が自分の“愛馬”に酷似したそのマシンのことを見紛うはずがなかった。目の前をすれ違った重厚なガンメタルのバンディットホイール……パッチマンが恋焦がれ続けた“オリジナル”バンディットホイールだ。

「ビィィィスト! この野郎っ!」

パッチマンは「ブルーウィンド」のハンドルを軽く揺すると同時にアクセルを盛大に開き、有り余るパワーに任せて車体を180度反転させる。古い舗装路を斬り付け、タイヤの灼ける白煙と黒々としたブラックマークを残して追跡を開始した。
コイルが焼き付くギリギリの過激な走行が功を奏し、先行するゾアントロプスのバンディットホイールのテールに食らいつく。今度ははっきりとガバナーの横顔が見える。黒いバイザーの奥、赤い眼を爛々と輝かせるこいつが結晶炉の獣人「ゾアントロプス・レーヴェ」か。

「おいコラ! てめぇ聞いてんのか!」

ゾアントロプスは追走するブルーウィンドのことを気にする様子もなくクラッチレバーを握り込むと、ゴクンと重い金属音を鳴らしてギアを一段上げる。
ヘキサグラムを動力源とするシンプルな重二輪のコイルが高回転域へと達し、車体の中枢に位置するヘキサグラムストレージから炎が噴き出す。特徴的な六角の装填孔から噴き出る炎が後方へと延び、触れるものを焼き焦がす。

 

パッチマンのブルーウィンドも炎を浴び、視界を遮られる。剛腕を振り回し炎を払った時には、結晶炉の獣人は遥か陽炎の彼方へと遠ざかっていた。

「ハッハァァ! ……シビレたぜ!」

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